女性の雇用拡大が国家プロジェクトになっている今、保育園の待機児童問題解消が急ピッチで進められています。しかし、施設整備の遅れや職場の理解不足などで、復帰を妨げられ、キャリアの断念を余儀なくされるワーキングマザーがまだ多いのも事実。「待機児童」の背景には、当然ながら、働きたくとも働けない「待機ママ」の存在があります。そんなワーママ達が、仕事と子育ての両立に悩む中、人生の岐路で何を思ったのか。生の声をお届けします。<文中は全て仮名>

【今回のあらすじ】大手教育サービスに勤める早川玲子さん。32歳になり「もう少しで部長昇進」というタイミングで妊娠が分かった。産後1年で復帰を試みるも、保育園入園の倍率が非常に高い地域だったことがネックになり、やむなく保育園入園を断念。その結果、3年間もの育休取得を余儀なくされたまでを語ります。

全3回ルポ。この後、中編「“育休から戻ってきてほしくない”と言われた日」、最終回の「『35歳女性、時短勤務』の求人なんてまずない」に続きます。

女性活用チームを任され、育休期間を3年に延長

 私が教育サービスの会社に正社員として入社したのは1999年のことです。非正規の社員まで合わせると1万人を超える、大きな会社です。正社員として入社すると、まず塾の運営を任されます。私も集客、運営、講師の育成を含めて全てを経験しました。講師として教室で子ども達に勉強を教えていたこともあります。

 当時の肩書きは教務主任。飲食業界でも正社員入社の人はいきなり店舗チーフを任されることがありますが、あれに似ています。生徒や保護者の方達を相手に必死にコミュニケーションするという生活が3年続きました。

 3年目に入り、社内で研修課を立ち上げることになったという情報を耳にし、人材育成に興味を持っていた私は「ぜひやらせてほしい」と手を挙げました。それまで会社には研修システムがなかったのです。何かをゼロから立ち上げるという企画に参加できることにも魅力を感じていて、嬉しいことにめでたく希望通りに異動させていただきました。そして、産休を取得するまでの丸7年、人事畑を歩むことになります。

 2008年に結婚し、翌年の3月に息子が生まれました。

 会社には丸3年の産休・育休を取得できる仕組みがありました。実は、この仕組みを整えたのは私でした。女性の働きやすさを考える社内チームのリーダーに就任していたこともあって、もともとあった育児休業の期間を3年に延長させたのです。

 教育業界は「子育てと両立しやすそう」と思われているかもしれませんが、教育サービスは学校の放課後時間を活用したビジネスですから、どうしても仕事は夜型になってしまう。女性が長く働き続けることができる企業になるためには、早急にワークライフバランス面を充実させなければならないという企業課題があったのです。

 当初は、育児休業を1年間だけ取得して、早々に職場復帰する予定でした。それほど仕事にやりがいを感じていました。

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