2014年8月15日、長野県・軽井沢に開校した、次世代をリードする子どもの育成を目指す少人数制の全寮制国際高等学校「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」(ISAK、アイザック)。代表理事の小林りんさんが考える、グローバル人材とは? 2003年にニュージーランドに全寮制高校(Auckland International College。以後、AICと略す)を創立したAIC.NZ.LTD代表取締役社長の桑原克己さんとの対談の模様をお送りします。

前編は、小林さんと桑原さんによる、それぞれの学校紹介です(2014年10月5日に東京都内で開催された「私塾界 リーダーズフォーラム 2014 in 東京 Season2」を取材しました)。

ISAK設立の目的は、チェンジメーカーになれる人材の育成

ISAK代表理事の小林りんさん
ISAK代表理事の小林りんさん

小林りんさん(以下、小林) インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)代表理事の小林です。ISAKは、日本初の全寮制インターナショナルスクールとして、2014年8月に開校されました。この学校を卒業することで、子ども達は日本の高校卒業資格を取得でき、同時に、国際バカロレアによって、世界75カ国にある大学に受験・進学することが可能になります。

 当校のミッションは、アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出すリーダーを育てることです。リーダーを育てるといいますと、とかくエリート教育と思われる方も多いのですが、当校が大事にしているのは、それだけでなく、チェンジメーカーになれる人材を育成するということです。

 当初、全生徒に占める日本人の割合は5割くらいになるかと思っていましたが、現時点では日本人は3割、7割は海外からの留学生となっています。また、学費が高額というイメージがあるかもしれませんが、当初から生徒の30%には奨学金を出したいと思っていました。実際に、2014年に入学した生徒の56%には、奨学金を出すことができています。

 学校がチェンジメーカーを育てるために重視していることは、まず「真の多様性」です。これは国籍だけでなく、経済的な格差、宗教観や歴史観の違いまでを意味します。それこそが、今の中学生、高校生が社会に出たときに直面する“多様性”だからです。

 2つ目は「問題設定能力」です。問題を解決する力よりも、まずは設定する能力が大事だと考えます。与えられた問題をうまく、素早く解く問題解決能力も大切ですが、今の若い世代の3分の2くらいの人達は、現在は存在しない職業に就くことになるでしょう。そこは、そもそも何が問題なのかすら分からない世界かもしれません。そこで、大人から与えられた問題を解くのではなく、自ら問題を設定できる能力を重視しているのです。

 3つ目は「失敗を恐れず、リスクに挑む勇気」です。失敗を恐れずに、新しいことに挑んでいく、ということを指します。新しい分野を切り開くためには、失敗の経験が必要です。それを恐れずに挑んでいく勇気を、全寮制という環境の中で培っていきたいと思っています。