まずは、次のやりとりを見てみてください。
私は、このような言い合いを「自分のほうが忙しい合戦」と呼んでいます。一度は口にしたり、耳にしたりしたことのあるフレーズがありませんか(私はあります)。すべてのフレーズが夫婦ゲンカへの引き金になっているのが分かると思います。
仕事・家事・育児のどれが一番大変か、パパとママでどちらが忙しいか、そこに正解はありません。大事なのは、感じ方は人によって様々ですし、人は往々にして自分と関係あることだけを大げさに感じてしまいがちです。
ですから、このような場面で私は、いたずらに自分の意見を振りかざすのではなく、相手の気持ちに寄り添うことを重視するようにしています。
とある本によれば、妻が離婚を踏みとどまったいくつかの理由のうち、
「あなたと私はこんなに感じ方が違うんだ、と認めて許容した瞬間、スッと楽になった」
というものが多かったそうです。この事実からも、夫婦でお互いの違いを認めることの大切さを改めて強調しておきたいと思います。
仕事においてはホウレンソウ、つまり報告・連絡・相談が大切だと教わりますが、こと夫婦の間における相談は意味合いが少し異なります。
男性からすると、相談とは、何らかの問題に対して解決策を出すことと考えるのが普通です。しかし、女性にとって相談の場というのは、「悩みを話す場」「不満を話す場」だと考えるのが無難です(個人差があります)。
ですから、ママの相談事に対して、あなたが偉そうに「こうしたほうがいいよ」と言うと、機嫌を損ねてしまい、予想と違う反応が返ってくることがあるのです(私はこれに気づくまで、この“貴重な体験”を何度もしてきました)。
誤解を恐れずに言えば、ママからの「相談があるの」という言葉は「グチを聞いてほしいの」と解釈するのがいいでしょう。どのように対応すればよいかはいたってシンプルです。「うんうん」「分かるよ」としっかりと話を聞いてあげるのです(話半分に聞くのは逆効果ですから、ご注意を)。