仕事や家事に追われ、子どもとゆっくり向き合う余裕が無いと感じる共働きのママ・パパは多いですよね。「疲れているので休日くらいは家でゆっくりしたい」「子連れ旅行は準備が大変で、なかなか踏み出せないなぁ」……そんな声が聞こえてきそうです。
 でも、日々忙しい共働きの家庭にこそ、親子のコミュニケーションを強める機会として、子育ての場として旅を役立ててほしい、と旅行ジャーナリストの村田和子さんは語ります。
 サイト「家族deたびいく」を運営する村田さんが「旅育」を紹介するこの新連載。子ども、そしてママ・パパ自身の心のメンテナンスにつながる旅へ、親子で出かけてみませんか?

 こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。現在中学1年生の息子を持つママです。息子が生後4カ月のときに千葉県の房総へ出かけたのを機に子連れ旅行を始め、9歳のときには47都道府県をすべて訪れました。

 夫は多忙で休日出勤も多かったのですが、子どもとの旅行のためには合間をぬって予定をやりくり。振替休日や有給を週末に付けて、遠方へも出かけました。夫の都合がつかない時は、息子と二人、あるいは両親を誘って三世代で旅へ行くことも。現在に至るまで月に一度のペースで、親子で旅をしています。

 わが家にとって旅は、それぞれが楽しみながら学び、親子の絆を深める大切な場。旅の思い出は息子の成長の記録と共に心に深く刻まれています。

 また、様々な人と出会い、多くの“本物”に触れる体験は、何よりも息子の自信や力になっていると感じています。この連載を通して、家族旅行の魅力と、子どもの生きる力を育む「旅育」について、ご紹介していきます。

子どもとじっくり向き合えないことに罪悪感

初めての家族旅行。パパとお昼寝中(生後4カ月:千葉県 白浜)
初めての家族旅行。パパとお昼寝中(生後4カ月:千葉県 白浜)

 「旅育」の話を始める前に、家族旅行とは、親自身のためでもあるということをお伝えします。

 私が子連れで旅を始めた十数年前には、小さな子ども連れで旅をする環境はなく、もちろんSNSもありませんでした。限られた情報で綿密にシミュレーションし、必要と思われる山のような荷物を手に旅をしていたのを鮮明に覚えています。

 そんな大変な思いをしてまで旅に出た理由は、初めての家族旅行で、自らが日常から解放されて元気になり、子どもとしっかり向き合えるのを実感したからです。