共働き世帯にとって保育園や学童の運営など、子育て支援を担う自治体は頼りになる存在であってほしいもの。このたび日経DUALでは、読者に代わって、自治体の首長への突撃インタビューを開始しました。最初は東京23区に取材を依頼し、区長に質問をぶつけます。

今回は江戸川区。0~14歳の年少人口率が23区内でナンバーワン。73校の区立小学校を持ち、公園面積も23区で最大。都心に近く、地価が安く、公園が多いなど、子育て世帯にとって住みやすい条件が整っています。区立の0歳児保育は保育ママのみで、保育園に通うのは1歳からという独自路線を取っています。そもそも0歳児の85%は家庭で育てているという江戸川区によるデータもあり、この数字は最近も変わっていません。

<前編>「江戸川区『0歳児は公立保育園で預からない』」に引き続き、<後編>では、おやつが廃止された問題がクローズアップされた「学童クラブ」や中学2年生全員が主に区内の事業所で職場体験を行う試みなど、子育ての政策について多田区長が語ります。

多田正見 区長

1935年愛知県生まれ。大学進学時に上京し、56年に東京都入都。72年江戸川区区民部区民課長、88年江戸川区区政情報室長、92年江戸川区主幹、95年江戸川区教育長。99年江戸川区長に就任し、現在4期目。

「子どもの数が減る時代」に区としてどう対応していくか

DUAL編集部 江戸川区は23区で合計特殊出生率が1位です(昨年度で1.45人、国は1.43人、東京都は1.13人)。

多田区長(以下、敬称略) 江戸川区は子どもが多い区なんです。全人口に対する年少人口比率も一番高い。平均年齢は42.63歳。昨年、中央区に抜かれましたが、区民の若さでは23区内で第2位です。

 子どもの数は2014年1月時点で9万4047人。子育て支援は手厚く、乳児養育手当も1969年から行っており、当時の高卒初任給が月額2万円のとき、月7000円を出していました。乳幼児の医療費無料という試みも、自治体としては最初に導入しました。

―― 保育園は今後も増やしていく方向ですか? 数値目標はあるのでしょうか?

多田 増やしていく方向ではありますが、数は確定していません。必要に応じて増やすということです。広い区なので、地域によってかなり状況が違うという理由もあります。公立でも定員割れという園もある一方で、受け入れ枠が足りないところもあります。

多田正見・江戸川区長
多田正見・江戸川区長