統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。今回は、「子育てがしやすい地域はどこか」というテーマについて取り上げます。
 首都圏で子育て世代の人口増加率が高いエリアをランキングすると、東京・中央区や港区、千葉の流山市などが上位にランクイン。また東京では子育て世代の人口が増えている地域は、0歳保育や延長保育の実施率などの「保育力」も高い傾向にあるのです。

 こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。読者の中には、今お住まいの地域にずっと留まろうという方もいれば、近々引っ越そうという方もおられるでしょう。「子育てがしやすい地域はどこか」という関心もあろうかと思います。それを狙ってか、「子育てがしやすい街ランキング」のような記事を、週刊誌などでよく見かけます。

 この問題を考えるにあたっては、人口の移動(mobility)に着目するのも一つの手です。人の動きというのは正直です。水が高きから低きに流れるがごとく、魅力的な地域には人がどんどん入ってきます。今回は、首都圏(1都3県)の市区町村別に、子育て世代の人口増加率を出してみようと思います。子育てに選ばれる地域はどこかを明らかにする、一つの試みです。子育て中の親御さん、ないしは行政の方々の参考になればと思います。

子育て世代の人口、千代田区が増えて多摩市は減る

 私は首都圏の242市区町村について、以下の2つのデータを収集しました。

(1)2009年1月時点の25〜29歳人口
(2)2014年1月時点の30〜34歳人口

 2009年1月時点の20代後半人口は、5年後の2014年1月には30代前半になっています。この2つを照らし合わせることで、20代後半から30代前半という「子育て期」にかけて、どれほど人が入ってきたか(出ていったか)を知ることができます。

 東京の千代田区でいうと、上記の(1)は4060人、(2)は4619人です。よって、この時期の人口増加率は (4619-4060)/4060=13.8% と算出されます。14%ほど子育て世代の人口が増えている、ということです。都心という地理的条件が人を引き寄せるのでしょうか。

 一方、私が住んでいる多摩市の人口増加率は-8.3%と、負の値になっています。公園などの緑地面積が首都圏一で、子育てをするにはいい地域だと思うのですが、人が出ていっているのだなあ。初めて知った。