仕事のプレゼンスキルを活かして、息子のエッセーにアドバイス

KANAEアソシエイツ代表・阪部哲也さん
KANAEアソシエイツ代表・阪部哲也さん

小野 それともう一つ、提出するエッセーにも全て目を通してアドバイスしました。書く内容は本人次第ですが、全体の流れや段落の組み立て方をアドバイスしました。エッセーは志望動機や高校での経験をまとめるという目的がありますが、結局は自分を売り込むわけで、要はビジネスにおけるプレゼンテーションと同じです。

阪部 その点に関してはビジネススクールやGE時代に徹底的にたたき込まれていますからお手の物ですよね。

小野 まあそうですね。アメリカの大学試験の競争は厳しくて、学校サイドはプロの第三者がエッセーにアドバイスをすることを禁じているのですが、実のところ、入学試験のエッセーを添削するカウンセラー業がビジネスとして成立するくらいの需要があります。息子に指導しながら確かにこれはビジネスになるな、と思いました。

阪部 お父さんからの助言を受けて息子さんは素直に書き直したりしたんですか?

小野 いやいや、機嫌を損ねて、簡単には書き直しませんでしたよ。それでも何度か繰り返すうちに次第に耳を貸すようになって。出来上がりが想像以上に素晴らしく、妻と「うちの子、こんなにすごいやつだったっけ?」と感激したくらいです。もちろん全部息子が書いたものですが、段落の順番をちょっとだけ入れ替えたり、表現を変えたりするとこんなに良くなるものか、という感じでした。おかげさまで無事、数校に合格できて、息子も少しは尊敬してくれたようです。「いつもママに怒られている情けないパパ」返上のひとときでしたよ(笑)。