企業が女性活躍推進を推し進める中、「自分がリーダーになるなんて、自信がない」と感じている女性の方もいらっしゃるかもしれません。先日実施された小室淑恵さんの講座「チームで勝てるリーダー術!女性管理職養成講座」に登場したのは、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二さん。中竹さんによる「これからのリーダーのあり方」のお話を3本の記事でお届けします。早稲田大ラグビー部監督に就任した後、部員から「日本一オーラのない監督」と言われながら、翌年から2年連続で全国制覇を成し遂げた中竹さんが語る、「リーダーに必要なこと」とは?

前回は中竹さんご自身が、「スタイル」を貫いて逆境を乗り越えたというエピソードを紹介しました。今回は「リーダーシップを取ってぐいぐい引っ張る」ではなく、「フォロワーシップで相手を支える」という新しいリーダー像について紹介します。

自分の中の「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」の割合を知る

 リーダーにとって最も重要なのはリーダーシップだと考えている方が多いと思います。リーダーシップとは、上へ前へとメンバーを引っ張る行為です。

 一方、フォロワーシップという言葉を聞いたことがあるでしょうか? フォロワーシップとは、メンバーを下や後ろから支える行為です。

 さてここで、普段の自分の仕事ぶりを思い起こしてみてください。部下や後輩を引っ張っているのか、それとも誰かを支えていることのほうが多いのか。――いかがでしょうか?

 このリーダーシップとフォロワーシップが、自分の仕事のうち、どのくらいの割合を占めているかを考えてみてください。5対5でしょうか? それとも1対9でしょうか? 9対1でしょうか? この割合について、自分自身で考える機会があまりないと思うので、一度考えてみることをおすすめします。

「リーダー or フォロワー」×「リーダーシップ or フォロワーシップ」の割合

 リーダーという役割には、実はメンバーを引っ張る力と、メンバーを支える力の両方が必要です。支えるというのは、例えば、部下や後輩の悩みを聞いてあげることなどを指します。

 またフォロワーという役割を果たすにも、誰かを引っ張る力と、誰かを支える力の両方が必要です。つまり組織内の人の役割は、以下4つのどれかに当てはまります。

① リーダーのリーダーシップ
② リーダーのフォロワーシップ
③ フォロワーのリーダーシップ
④ フォロワーのフォロワーシップ

 では、役職や立場には関係なく、仕事において自分が果たしている役割を考えてみてください。例えば、自分が部長で、社長や役員と一緒に資料を作成したり、会議を開催したりする場合はフォロワーシップを発揮していることになり、「② リーダーのフォロワーシップ」を果たしているといえます。

 自分が課長で、アルバイトやパートの人達に指示を出している場合は、「④ フォロワーのフォロワーシップ」を発揮していることになります。

 自分の普段の仕事全体を100%とした場合、それぞれ4つの役割はどれくらいの割合になっているでしょうか。パッと考えてみてください。自分の中でどんな役割が多いかを知り、それが自分のスタイルにうまくはまっていれば、個人的にも幸福感が増すでしょう。

 私の役割は監督で、役職的にはリーダーでしたが、実際私が果たしていた役割の9割は「② リーダーのフォロワーシップ」でした。実は、私は「① リーダーのリーダーシップ」はあまり得意ではないのです。私の場合、リーダーシップを発揮する仕事とは、チームの大きな方針を伝えることと選手選考ぐらいで、あとは基本的に選手を後ろから支える仕事に徹していました。

 皆さんもぜひ、自分が仕事をするうえでどんな業務をしながら、どう仲間を引っ張り、支えていくのが自分に合っているかを考えてみてください。

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