留学斡旋会社を売却後、中学校の民間校長に
藤村 私自身の父が教員で、現在、ある中学校の校長を務めているため、校長という仕事には個人的にも興味があります。さて、平川さんはリクルート出身でいらっしゃいますが、民間企業を経て、中学校の校長先生を目指した経緯を教えてください。
平川さん(以下、敬称略) リクルート退社後、留学斡旋会社を自分で起業しました。誰かの人生を変えるお手伝いができることが楽しかったですし、日本の学生を海外に送り出すことにも使命感を感じていました。おかげさまで毎年黒字を出すことができ、複数の社員も抱えて、それなりに事業を運営できていたのですが、あるときから「私の仕事ってこのままでいいのだろうか」……と思うことが増えてきました。
そこであれこれ悩んだ結果、起業10年目というタイミングで会社を売却、一度リセットしました。所属先も仕事もない生活を送ることで、これから自分は何をしていきたいのか、というテーマとじっくりと向き合うことにしたんです。
―― ずいぶん大きな決断をされましたね。その結果、見えてきたのが、民間人校長という仕事だったのでしょうか?
平川 一から考えたときに、「中学校」という教育のど真ん中に身を置いてやっていきたいな、と感じたんです。40代、50代と仕事をしていく中で、今まで私がやってきた仕事が活かせるかもしれない、人様のお役に立てるのではないか……。そう思いました。
ちょうど、大阪で民間人校長の募集が始まったところだったので、すぐに応募し、ありがたいことに合格・内定を頂きました。ただ、家族と暮らしていたのは東京。そのときは家族の反対を受けて泣く泣く諦めました。その後、同じように公募した横浜市の民間人校長に再度挑戦した結果、こちらで校長を務めることになったのです。