家づくりはまず食空間から考えるのが正解
キッチンや収納、ダイニングのあり方を見直すことで、食べる空間を豊かにし、家族が笑顔でおいしく暮らすことができる。だが、これらの見直しは住まいを建てたり、リフォームしたりする際に、プランニングの最初の段階で考える必要があると、河崎さんは強調する。
「家づくりでは個室やリビングのプランニングから始め、キッチンやダイニングは最後に『余ったスペースで』となりがちですが、それでは豊かな食空間が実現できません。まず食を中心に、『どんなところで食べたいか』『どんな団らんにしたいか』を考えるところからスタートしてほしいのです」
例えばアウターダイニングを望むのであれば、あらかじめ大きな開口を確保してダイニングとウッドデッキがつながる配置にしておきたいし、軒の出を深くして、外でも雨がかからないようにする工夫も必要だろう。屋外でヒーターや電気鍋などが使えるよう、屋外コンセントの設置も欠かせない。
「窓辺ダイニングを実現するには、テーブルに合わせた窓の高さや大きさを決める必要があります。住まいを考えるときは、まず食べる空間を優先することで家族が笑顔で食卓を囲むことができ、料理がさらにおいしくなるでしょう」
家族が集まってくつろぐ空間というと、まずリビングのことを指すのがこれまでの家づくりの常識だった。だが、今の忙しい共働き世帯にとっては、むしろ一日のうち、キッチンやダイニングで過ごす時間が最も長くなる。これからは食空間の充実こそが家族みんなで楽しい時間を共有し、家族のコミュニケーションも活性化するポイントになりそうだ。
(文/大森広司、写真/菅野勝男)
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