すっきり片付き、目隠しにもなるキッチンクローク

 一般的なI 型キッチンの場合、カウンターの背面には食器棚を配置するケースが多い。セパレートキッチンでは背面もカウンターになるので、食器などの収納場所が問題だ。河崎さんはこの点について、カウンターの下に引出し収納を設けたり、キッチンに隣接して「キッチンクローク」を設置することを提案する。引出し収納は最近のシステムキッチンでもよく見られる設備だが、食器の出し入れがラクで、引出しを全開すれば中身が見渡せるメリットがある。また、子どももお手伝いしやすい。

 「キッチンクロークはオープンな棚を設けた、使いながら収納できるウォークインタイプの食品庫のようなスペースです。棚を付けるだけなのでコストもあまりかかりません。ストック食品や調理家電、分別ごみ箱などが納められ、キッチンが片付けやすくなります」

 またキッチンクロークは冷蔵庫の目隠しにもなる。最近の冷蔵庫はデザインにも配慮されているが、ドアにマグネットでメモを貼るなど、どうしても生活感が出てしまいがちだ。そこでキッチンクロークが幅1メートル程度とれるようであればその中に冷蔵庫を置くのもおすすめだ。ダイニング側からの見た目もすっきりして、インテリアを楽しめる。

セパレートキッチンの奥に配置されたキッチンクローク。この中に冷蔵庫を置くとリビングからは冷蔵庫が見えない
セパレートキッチンの奥に配置されたキッチンクローク。この中に冷蔵庫を置くとリビングからは冷蔵庫が見えない

 「ダイニングで食事をする時間を快適に過ごすには、キッチンのインテリアも大切です。カウンターの背後はダイニングからもよく見える場所なので、食器棚を置くかわりに飾り棚や窓を設置できれば空間が豊かになるでしょう」

居心地よいダイニングを演出する3つのプラン

 作業しやすいキッチンで料理をつくり、しまったり隠したりしやすい収納ですっきり片付けたら、あとはダイニングでおいしく食事をするだけだ。この「食べる場」を居心地よい空間にする工夫について、河崎さんは3つのプランを提唱する。

 「まず家族が集まってずっと一緒にいられるプランが『カフェダイニング』です。ダイニングテーブルを少し低くして、長イスやソファー、ベンチなどを置けば、食事をしていないときでも居心地よく過ごすことができます」

河崎さんが提唱するカフェダイニング。これなら座り心地のよいソファーでくつろぎながら食事できる
河崎さんが提唱するカフェダイニング。これなら座り心地のよいソファーでくつろぎながら食事できる

 また自然を感じながら食事をすることも、居心地のよい空間づくりにつながる。そこで思い切って食卓を外に出してしまうという発想が、「アウターダイニング」だ。室内のダイニングから外のウッドデッキにテーブルをせり出して、開放感のある軒下で食事ができるスペースを設けるといったプランが考えられる。

 「ダイニングとウッドデッキの境をフラットにしておけば、いつでもテーブルを出して気軽にアウターダイニングを楽しめます。また外のダイニングは座のスタイルもOK。カーペットやラグを敷いてお花見のシーズンなどにも外で食事ができるでしょう」

 3つめのプランは「窓辺ダイニング」。部屋の真ん中ではなく、窓辺にテーブルを配置し、外の景色を眺めながら食事をする提案だ。

 「窓辺はだれもが好きな空間です。ダイニングテーブルはキッチンカウンターにくっつけておくケースが多いのですが、それだと配膳はしやすいですがなんとなく慌ただしいイメージも。窓辺で食事をすれば、ゆったりとした時間を過ごせるでしょう」

窓辺に近いところにダイニングテーブルを置き、ウッドデッキとの境をフラットにしておくとよいという。天気がよい日にはテーブルを出してアウターダイニングも楽しめる
窓辺に近いところにダイニングテーブルを置き、ウッドデッキとの境をフラットにしておくとよいという。天気がよい日にはテーブルを出してアウターダイニングも楽しめる