集まって楽しく過ごせば子育ての悩みも解消!?

 完成した住戸は分譲中の「パークホームズLaLa新三郷」の一住戸として販売されている。専有面積は83.93㎡で4280万円と、同じマンションの他の住戸とさほど変わらない価格だ。

 仕様もほぼ標準的なものだが、床をタイル仕上げにしたり、巾木が壁面より引っ込んでいる「入り巾木」を採用するなど、空間をすっきり見せる工夫をしている。それだけ工事にも手間がかかっているはずだ。

床をタイル仕上げ
床をタイル仕上げ

巾木は壁面より引っ込んでいる
巾木は壁面より引っ込んでいる

 しかもこの住戸は家具付きで販売されるという。建築家とコーディネーターが相談して選んだ家具のうち、「通りみち」に置いてある大きな丸みを帯びたテーブルは建築家のオリジナル家具だ。

オリジナルで丸みを帯びたテーブルも販売価格に含まれるという
オリジナルで丸みを帯びたテーブルも販売価格に含まれるという

 「家族だけでなく、親戚や友人などが集まりやすい形にしました。明るい空間にみんなで集まって楽しく過ごせば、子育ての悩みやストレスも解消できるのではないでしょうか」(小野氏)。まさに共働き夫婦にとって、望ましい子育て環境が実現する空間といえるだろう。

 今回の受賞作品に基づく住戸は1戸だけだが、三井不動産レジデンシャルでは過去の受賞作品も含め、建築家のコンセプトを今後のマンションづくりに活かしていく考えだという。小野氏の作品のように「~LDK」という既成概念にとらわれず、住み手の想像力でフレキシブルにスタイルを変えられる自由な住空間が、これからのマンションの一つのトレンドになるかもしれない。

(文/大森広司、写真/武田光司)