「うちの子ブスでしょ。だから勉強しないとね」

 幼い娘を遊ばせながら、その母親は言った。おお、と私は衝撃を受けた。わが子をブスと断じて、だから勉強とはいかに。

 その母親は美人で高学歴で社会的地位も高い。「ちゃんと勉強して私のように立派な大人に」というのはまだわかる気がするのだが、「ブスだから勉強」って、じゃあ娘が美人だったらそうは言わないのか? 

 どうやら彼女の理屈では「ブスは男にもてない→稼ぐ男に養ってもらうのは無理→自力で生きていけるように学力をつけなくちゃならない」ということらしい。彼女は学力が高くて美人なので「比較検討の結果」最良の同業男性と結婚したという。職業柄女性が少なく、かつ美人が珍しい職場だったので、彼女のような女は相手を選び放題だったらしいのだ。

女にとって、知性は付加価値なの?

 どうも話を聞いていると、「私は学力が高かったので男に頼らずとも自立できる仕事に就けた、よかった」ということではなく、「私は学力が高かったので高学歴男性の社会に入ることができ、そこで美人という強みを生かして最高の男と結婚できた、よかった」ということらしい。