「夜からの会議」「妊娠したら退職するのが当然」…、一昔前ではなく今の話

―― 地方都市だからといって、ゆったり過ごせるわけではないのですね。

下村 企業に勤めている以上、感じることはどこも同じだと思います。自然環境は良く、子育てには最高の土地ですが、勤務先の状況に目を向けると、むしろ昔ながらの男社会の企業も多いです。うちも少し前は一日の仕事が終わって夜から会議というのがスタンダードでしたが、それでは定時退社なんてできないですよね(笑)。

佐藤 夜に仕事ができるからダラダラしてしまうのでしょうね。私が働く税理士業界も、「子どもができたら辞めなければいけない」という慣習が普通に残っています。所長の税理士が個人事業主なので、好き勝手できるのかもしれません。産休・育休を取得したのは私が初めて。法定通りで、産前6週・産後8週の産休を取得し、それから約4カ月で復帰しました。

 本当は育休を1年間取りたかったのですが、出産したのが10月。年度の途中で保育園に入るのは無理なので、0歳児クラスから入れるために4月での復帰を決意しました。職場の人員が少なく、同僚の女性も色々な事情を抱えていたので、気持ちの面で長くは休みづらかったという理由もあります。

 わが家は運良く認可保育園に入れましたが、フルタイム夫婦でなければ保育園はまず無理。市内に60歳未満の両親が住んでいる場合もほぼダメ。60歳以上であれば入れたようです。

下村 一番大変なのは娘の病気のときです。現在の職場は理解があり助かっていますが、周りでも「病児保育の充実を」という声を一番よく聞きます。朝一で電話しても、すぐ定員がいっぱいになってしまうようです。私もインフルエンザの病後のことを考えてファミサポに登録しています。

 でも、「病気の子どもを預けて働く環境が整い過ぎている社会」というのも、正直違和感があります。岩手県内の自治体でも、少子化対策のチームがどんどんできていますが、「子育てしやすい」というのが大人の都合だけにならないように、当事者の声を大事にしてほしいですね。