さすがの夫にとっても、「在宅勤務」が困難に……

 2歳にあと数カ月という頃から、私が出かけて戻ってみると、げんなりした夫が「全く仕事させてもらえなかった」とぼやくようなことが増えてきた。昼寝をしてくれないばかりか、ぐずって泣き叫ぶ声が半端ない大きさになり、さすがの夫も集中力を持続できなかったらしい。

 というわけで、現在2歳の虎は、家にいるときはどちらかがマンマークしないとならない存在になっている。というか、虎に私あるいは夫がマンマークされていると言ったほうがよいか。特に私にはマークがきつくて、なかなか振りほどけない。ちょっとでも違う階に行って、洗濯したり片付けしたりしているだけで、「ママー! ママー!!」と近所中に聞こえるような大声で叫ばれる。キッチンに入ってベビーゲートを閉めようとすると、悪徳訪問販売のように、ドアの隙間に足をガッとねじ込んできて閉めさせまいとする。

 階段との境にしていたベビーゲートも、椅子を持ってきて上り、手を上から回して鍵を開けるという知恵が付いてしまい、虎をストップできるものは何にもなくなってしまった。恐ろしいことに、地下から3階まで自由にスタスタ上り下りしてしまえるのだ。

 そんな状況では言うまでもなく、「子どもを見ながら仕事」など、できませんって。そこで、最近では保育園に行く日を増やし、今までの月70時間から100時間に延長した。週に3日程度、9時30分から17時30分まで預かってもらう感じである。その間、自由に仕事できる喜びを享受させてもらっている。外出する仕事がない日には、黙々と家事をこなし、パソコン仕事もじっくり行い、やらなければならなかったことを一気にすませる。虎が家にいる日は、虎とがっぷりよつで過ごす。どうしてもやらなければならない仕事は虎が寝てから。

 そんなふうにルールを決めてから、随分と精神的にも肉体的にも楽になった気がする。最初は、預かってもらっている間に家に二人ともいるという状況に、なんとなく罪悪感を覚えていたのだが、そうしないと在宅ワークができないと割り切るしかない。「家で子どもを見ながら仕事ができるだろう」という目論みは甘かったということだ。

 そこで、思う。いわゆる「在宅勤務」って本当に現実的なのだろうか。