――『うまれる ずっと、いっしょ。』を拝見して、出演者と監督がとても親密な関係であることが伝わってきました。撮影するまでと、撮影中、特に気を配ったことはどんなことですか?

豪田「僕らがどうこうというよりも、撮らせていただく方々が、カメラを持った僕らを受け入れてくださるかどうかが一番大切なのですが、『信頼関係』を築かせていただくことには気を配っています。僕らの映画は、ご家族の非常にプライベートな領域に踏み込みますので、とにかく信頼関係が大切。そのために、気をつけていることはいくつかあります。一番重要だと思っていることは、全面的にお相手を受け入れること。相手が嫌がることは当然しませんし、話はしっかりお聞きし、あまり途中で余計なアドバイスやジャッジは差し挟まない。よくよく考えれば、通常の人間関係で言えば普通のことなのかもしれませんが、その普通のことを数年にわたって確実にやっていくことって意外に難しいけれど、とても大切なんじゃないかなと思っています」

牛山「例えばテレビ番組だと、放送前に登場人物が映像の確認をできないんですが、私たちは映画を公開する前には、事前にお見せしますとお伝えしています。自分が出ている映画が世に出るというのはリスクもありますし、私達にも彼らをお守りする責任がある。契約書と言うとちょっと仰々しくなっちゃうんですけど、確認していただくので安心してください、と書面でお約束をします」

――だからこその信頼関係なのですね。

牛山「そうですね。信頼してくれているからこそ、私達を受け入れてくれて、安心してお話ししてくださるのかもしれません」

豪田「たとえ何を言ったとしても、後で確認できるというのは、逆に安心して色々お話しいただけるというのはあるのではないでしょうか。映像の編集は、修正を加えるのは、内容によっては莫大なお金が発生しますが、そのリスクを負ってでも、信頼関係は大切にしたいと思っています。とは言っても、僕らも日々修行中ですが(笑)」