今家(映画タイトルの上のメイン写真)。今賢蔵さんと順子さんは、とても仲の良い夫婦。末期の大腸がんを患い、最期の時間を自宅で家族と過ごすことにした順子さんは、「家族に囲まれて幸せ。ありがとう」と涙を流し、息を引き取ります。最愛の妻を亡くした賢蔵さんは、「乗り越える器量が僕にはない」と悲しみに暮れますが、娘達に励まされながら、少しずつ自分の人生を生きる力を取り戻し始めます。

 松本家。前作「うまれる」から引き続いての出演となる、松本直子さんと哲さん、そして18トリソミーという障害を持ちながらも、とびきりの笑顔を見せる虎ちゃんこと虎大君。1歳まで生きられる確率が約10%と言われる、染色体の障害である18トリソミー。直子さんと哲さんは、毎日、死と向き合いながらも、明るさを失わずに虎ちゃんを育て、虎ちゃんは2歳になり、少しずつできることが増えていきます。

直子さんと哲さんの前向きな子育てや言葉の重みは、とても心に響く
直子さんと哲さんの前向きな子育てや言葉の重みは、とても心に響く

 本作は、これまで見てきたドキュメンタリー映画よりも、出演者にとても親密に寄り添って作られた作品だと感じました。家族の在り方や、命の尊さ、子育ての重みが、親であり、子であり、妻である私の心に強く響いてきました。DUAL読者には、ぜひ見てもらいたい1本です。

 「うまれる」シリーズを、ライフワークとして撮り続けていくという豪田監督と牛山さん。お2人のお話には、DUAL読者に参考になることが盛りだくさんです!

豪田トモ(企画・監督・撮影)
1973年生まれ、東京都多摩市出身。中央大学法学部卒。6年間の会社勤めの後、映画監督になるという夢をかなえるべく、29歳でカナダ・バンクーバーへ渡り、4年間、映画製作の修行をする。その際に製作した短編映画「Before,After」が、日本国内、バンクーバー、トロント等、数々の映画祭にて入選。帰国後はフリーランスの映像クリエイターとして、テレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像などを製作。2007年、映像プロダクション「株式会社インディゴ・フィルムズ」を設立。代表取締役に就任。2010年11月より、初監督作のドキュメンタリー映画「うまれる」が全国劇場公開。総視聴者数は40万人を超える。著書に『うまれる かけがえのない、あなたへ』(PHP研究所)、『えらんでうまれてきたよ』(二見書房)がある。

牛山朋子(プロデューサー)
慶應義塾大学政策・メディア研究科在学中に、インターネットをテーマにしたコンサルティング会社を起業。ウェブを利用したコミュニケーションビジネスに携わった後、出版社にてファッション誌の編集業務を行う。2000年、インターネットショッピングモールを運営する楽天株式会社に入社。主に企画・マーケティングを中心とした部署を担当し、全国で60万部を発行する女性向けのフリーペーパー『楽天マガジン』を創刊、初代編集長に就任。2007年、アソシエイトプロデューサーとして日米合作映画に携わったことをきっかけに、8年間勤めた楽天を卒業し、映像の世界へ。映画「うまれる」のプロデュースを務めた。2010年、監督の豪田トモと婚姻し、娘を出産。