A)山田久さん 国際比較をすると、男性の家事・育児に対する積極性の度合いが、女性が働きに出ることに大きく影響していると思います。例えば、ドイツでは男女ともに労働時間が短い傾向にありますが、統計や調査を見ると、あまり夫が家のことをやらないようです。結果としてドイツの管理職の女性比率は、ヨーロッパでは比較的低いです。

 スウェーデンなど北欧の国では、若い世代は家事・育児を男女共同でやっています。基本的に夕方5~6時に、男性も女性も帰宅してしまいます。男性は例えば、月曜・水曜・金曜に子どもを保育所に迎えに行って、家に帰ったら勉強を見たり、他の曜日は洗濯や料理をしたりしている人が多いと聞きました。日本ではこれから浸透していくと思いますが、一つはこうした男性の積極性の度合いが女性の労働時間に影響しているのではと思います。

 また、仕事の面では、日本的なチームワークの良さもありますが、それぞれの人の責任や職務範囲を明確にしていくことも必要かと思います。北欧では、意外と家に帰ってからも仕事をしているようです。恐らく、職務範囲が明確なゆえ仕事の時間をマネジメントできているのでしょう。労働時間の短縮と職務型の人事制度なども考えていく必要があると感じます。

A)小崎 現在の主婦のニーズとしてパートタイムで働きたい人は多いそうです。国も企業も本気で女性活躍推進に取り組むのであれば、例えばパートタイムでも昇進していける環境が必要だと思います。現在は恐らく付加価値が高くなく、賃金も高くなく、家事・育児をすべて彼女達がするということが前提の環境になっていると思います。そうではなく、たとえ時間に制約があっても、もっと活躍でき、もっと付加価値の高い仕事を任せられるような環境づくりをしていけたらと思っています。

(文/西山美紀 写真/花井智子)