インターネットの活用で、教育はどう変わる?

 小・中・高の12年間の学校生活を振り返ってみていかがでしょう。朝から夕方まで教室という四角い空間に閉じ込められ、気の合わない人間と同居し続けなければならない。反りの合わない他者とうまくやっていすべを学ぶのも、学校の重要な教育機能ですが、いじめという犯罪行為を受けてまで、そこに居続けることを強いられることはないでしょう。

 最近は義務教育段階でも、学校外の教育施設での学習、ないしはITを活用した自宅学習を出席扱い(条件付き)にしてくれるなど、柔軟な措置が取られるようになっています。わが子が「学校に行きたくない」と口にしたとき、事情を十分に吟味のうえ、必要とあらば上記のようなオルタナティヴな選択肢を積極的に活用すべきかと思います。

 1970年代、イヴァン・イリイチという学者は『脱学校の社会』という著作において、「情報化が進んだ社会では学校の領分は縮小し、代わって人々の自発的な学習ネットワークが台頭するであろう」と予言しました。21世紀の日本は、まぎれもなく情報化が進んだ社会です。新たな知識はインターネットからも享受できます。これから先、学校だけが教育の場であり続けることはできなくなるでしょう。まさに現在は時代の過渡期なわけですが、こうした時期に子どもの自殺が多発することは、図1でも見た通りです。その意味で、近年の子どもの自殺増加は、過渡期の反映とも考えられます。

 長くなりましたので、このあたりで。

 次回は、人口移動の統計を使って、子育てに選ばれる地域はどこかを明らかにしてみようと思います。あなたがお住まいの地域は入っているでしょうか。お楽しみに。