この3年間の統計に記録されている自殺原因の延べ数は、小・中学生が209、高校生が681、大学生が1432です。一人の自殺原因が複数にわたることもありますので、この数は自殺者数とは一致しません。私はめぼしい10の原因を取り出し、それぞれが全体に占める割合を出してみました。図2はそのグラフです。発達段階ごとの変化も分かるようにしています。

 小・中学生の原因上位3位は、学業不振、家族の叱責、親子関係の不和です。この段階では主な生活の場は家庭ですので、家族関連の原因が多くなっています。ちなみに原因4位の「友人との不和」には、恐らくいじめも含まれるでしょう。

 原因の「入試の悩み」の比重が、高校生や大学生より、小・中学生のほうが大きいことにも注目。冒頭で紹介した小6女子2人の自殺は、まさにこれでした。早期受験が広まっていますが、年少の児童にとって過酷な受験勉強は、心身に大きな負担となります。回を改めて述べますが、子どもが望まぬ早期受験の強制は児童虐待に相当するという見方もあります。

 発達段階が上がると、進路の悩みやうつ病の比重が高くなってきます。高校生では前者がトップです。大学生では学業不振が最も多く、全体の2割近くを占めます。日本の大学生は遊びほうけて勉強しないといいますが、深刻に考える学生さんもいるようです。

 就職失敗が上位に挙がっているのも、今日の状況をよく反映しています。「お祈りメール」(不採用通知)なるものを何十通、何百通も受け取るうちに「自分は社会に必要とされない人間だ」と思い込み、自らをあやめる大学生…。こうした就職失敗自殺が社会問題化していますが、それは自殺統計にも表れています。新卒至上主義のニッポン固有の現象であるようにも思います。