今後は、専業主婦の家庭もあっていいし、今は数が少ないかもしれませんが妻がフルタイムで働いて、夫はパートをしながら育児をする家庭もあっていい。家族には多様性、つまり色々なパターンがあっていいんです。型にはめて考えようとせず、互いに認め合うことこそが大切なのではないでしょうか。

 同じようにイクメンについても、「フルタイムで働いて育児も家事もする」という一つの理想像をつくらずに、色々なスタイルのイクメンがいていいんです。

「自分だけの時間」が無いと惰性で進むように

―― 最後に「これだけは言っておきたい」ということを教えてください。

田中 私が懸念するのは「今の共働き男性には立ち止まる時間がない」ということです。

 日本の女性の働き方は「M字型就業」と呼ばれています。出産・子育て期に仕事をいったん離れるため労働市場を退出し(その時期の女性の労働力率が下がる)、子育てが一段落してから仕事に戻る(また労働力率が上がる)というスタイルです。つまり、女性の労働力率はM字カーブを描くわけですね。

 ですが、日本の男性の場合、働き始めたら定年までずっと働き続けます。男性の労働力率はへこまずに台形になるんです。全力で仕事して、さらにそれ以外の時間は家庭や地域でパパとして頑張って……。これでは疲れてしまいます。

―― 男性も、仕事と家事・育児ばかりだと、自分一人だけが使える自由時間が少なくなりますね。

田中 誰しも、仕事とプライベートに加えて、さらに「自分だけの時間」も必要です。自省する時間や勉強する時間、我が身を振り返る時間がないと、惰性だけで進んでしまいます。