―― イクメンという言葉には、残念ながら「家庭重視だけど、仕事はそこそこ」というイメージも言外にある気がします。

田中 今はちょうど過渡期ですからね。日本では「男は仕事、女は家庭」というイメージがまだ強く残っていて、その対義語として「イクメン」が使われている面もあります。ですが、男性の育児参加が当たり前になれば、いずれ「イクメン」という言葉は使われなくなり、そういった偏見も無くなるのではないでしょうか。

専業主婦の家庭を「古くさい」と思っていないか

―― 共働き世代について、田中さんが最近注目されていることは何かありますか。

田中 私が参加するワーキンググループの調査では、年収300万円以上のバリバリ働く女性の子どもは、「物事をてきぱき進められる」「自分の意見をはっきり言える」傾向が高いことが分かりました。

 バリバリ働く女性は、子どもに家事の手伝いをさせたり、祖父母・近所の人に子どもの面倒を見てもらったりする頻度が高いのですが、これが子どもに良い影響を及ぼしていると見ています。ちなみに、同じくバリバリ働く女性は「家族と仲が良い」度合いも、実は専業主婦などよりも高い傾向があります。

 私自身にはまだ子どもはいないのですが、0歳児から保育園に通っている友達の子どもを見ると、知らない人にすごく慣れているんですね。小さなうちからさまざまな人と付き合うことで、自然と子どもの経験値は高められますよね。


子どもの育て方別「子どものてきぱき度・はきはき度」についての調査。家事の手伝いをさせたり、祖父母・近所の人に子どもの面倒を見てもらう頻度が高いほどに、子どもの「てきぱき度」「はきはき度」が高まっている。プラチナ構想ネットワーク「女性の活躍ワーキンググループ」が、2014年に行ったアンケート調査結果より


年収300万円以上の女性(調査内では「バリキャリ」)は、300万円未満(「ゆるキャリ」)や収入なしの既婚女性(「ハウスワイフ」)に比べて、「家族と仲が良い」と答える割合が大きい。上記調査結果より

―― そう考えると、共働き家庭が子どもを保育園に預けて働くことに罪悪感を感じる必要はなく、逆に「共働きって素晴らしい」と思ってしまいますね。

田中 でも、「共働きこそ、理想の家族像」「旧来型の家庭は古くさい」と考えてしまうのも危険です。それこそ、夫はサラリーマンで妻は専業主婦という家庭を営む人が、共働き家庭に対して「あの家はお母さんが働いているから、子どもがかわいそう」と思ってしまうことの裏返しですからね。