国内グループシェア1位を誇るサイボウズ株式会社の社長、青野慶久さんは、育児休暇を取ったイクメンとしても知られています。第1回「サイボウズのイクメン社長は本当に育児してるのか?」では、そのイクメンぶりがいかにリアルかを検証。第2回「青野慶久 『太陽にほえろ!』の残像が男を苦しめる」は、ダイバーシティーがサイボウズを強くしていくという経営者としての理念を伺いました。そして最終回である今回のテーマは「育児経験をどのようにして実際に仕事に役立てているのか」。

育休を取ったことが評価される時代が近々来る

サイボウズ・青野慶久社長
サイボウズ・青野慶久社長

青野慶久社長(以下、敬称略) 僕が今の若い世代に言いたいのは、世の中の価値観が近々変わって、男性で育休を取ったやつが出世する時代が来るから今のうちに取っておけ、ということです。5年後に部長の座が待ってるぞ、と言うんです。

羽生祥子日経DUAL編集長 「育休取ったやつが出世する」というのは、そうなるといいなぁという希望ですか?

青野 そうなるといいなと思いますし、多分そういう時代が来ると思います。この流れからいくとね。大企業の経営者と話をすると、ダイバーシティーって本当に大きな会社のトップにとって重要な課題になっていることが分かります。

 9時から5時までみんな同じ顔して、みんな同じ社宅に住んで、ではまずいと、経営者は気づき始めています。先んじて多様な働き方を選んできたやつは必ず注目されて中核に集められるから、だから今のうち取っておけ、早いもん勝ちだぞと言うんです。

―― でも実際には、男性が育休を取ろうとすると、上司は男性でも女性でも、とにかく驚くし、あまりいい顔をしないでしょ。そんな中で、どうやって男性の新しい働き方を上長の人にも理解してもらうといいのでしょうか?

青野 直上の上司はともかく、世の経営者は多様な人材を求め始めています。男性で育児休暇を取ったことがある人は、転職するときに有利だと思いますよ。あ、この人はうちに新しい価値観を持ってきてくれるでしょう、とか。

―― ところで青野さんは、毎晩絵本読みも寝かしつけも担当しているとのことですが、子どもが寝た後はどうされていますか? やおら起き上がって仕事?

青野 絵本タイムが終了したあと寝付いたら、ああ、もう大丈夫だなと思って引き揚げて、そこから約1時間、12時までが僕のその日の仕事の精算時間です。そこから僕は集中モードですよ。