サイボウズ株式会社は、IT業界で国内グループウエア市場シェア1位を誇り、海外進出へ着々と駒を進める。その社長である、青野慶久。当然、激務。でも、彼はイクメンも公然と名乗っている。イクメンは、社長に劣らず激務なはず。なにしろ生まれたばかりの子どもは昼夜を問わずに吐くし、熱を出すし。青野社長は本当に、イクメンを兼務できるのか?

日経DUAL編集長の羽生祥子はこれまで、何人ものイクメン社長が「自称」(=つまり大したイクメンではない)と看破してきました。日曜日に子どもを抱っこしたから「イクメン」って……。たま~に早く帰宅したついでに子どもと一緒に風呂に入っただけで「イクメン」って……。東証一部上場企業社長でありながら育休を取得したことでも名高い青野慶久社長は、果たしてどうなのか? まずはそのイクメンのリアル度に迫った。

■このインタビューの続編はこちら…
第2回 「青野慶久 『太陽にほえろ!』の残像が男を苦しめる」
第3回 青野慶久「育休取ると出世するから若い人は取りな」

病気の子どもの世話で社長の出社は午前11時

サイボウズ・青野慶久社長
サイボウズ・青野慶久社長

羽生祥子日経DUAL編集長 ワーキングママに関する動画で話題のサイボウズさんですが、青野さんは、イクメン社長として知られています。でも、本当に社長をやっていて育児ができるのか、疑問です。

 これまでに取材した中にも「俺イクメンでさ」と自慢げにおっしゃる社長、意外といるんです。でもよく聞いてみると、日曜日に子どもを抱っこしたとかその程度で(苦笑)。なんだそれ、と。笑ってる場合でなくて怒りすら感じますよね。青野社長も実はニセモノ? と、つい疑いの目で見てしまいますが、どうなんですか。

青野慶久社長(以下、敬称略) 今は僕、結構リアルだと思いますね。

 今朝というか、昨日の夜中、次男が吐いたんですよ。0時50分ぐらいかな。次男がウェーッと泣き出して、どうしたんかなと思ったら、15分ぐらいしたらボコボコ~ッてやっちゃって、うわっ、きた! という感じでした。

 子どもの世話を色々して、寝始めたのが3時ぐらいですよ。3時間ぐらいしか寝ていない。しかも、今朝はヨメさん自身が午前中、病院に行かないといけなかったので、僕はまず長男を保育園に送って、その後、次男を小児科に連れていき、薬局で薬もらって、飲ませて、取りあえず大丈夫そうだからもう1回保育園に預けに行って、家に1回帰って、その後、出てきたんです。ですから、出社は11時ぐらいですよ、今日。

―― それですよ! まさにデュアル。

青野 これですよ、まさに。子どもを育てるというのはこういうことですよ。(二人ともすでに興奮)

―― いまの話でレアだなと思ったことは、奥さんが社長である青野さんに、そこまでやってねってちゃんと言えることです。「あなたは社長なんだから、いいわよ、ある程度は私がやる」みたいな感じにはならないのですか?

青野 でしょう? 僕もそれを期待してたわけ(笑)