芸術の秋です! 仕事に子育てに慌ただしい日常をちょっとだけ離れて、ゆっくりと絵画鑑賞はいかがでしょうか。現在、あべのハルカス美術館(大阪市)と日本経済新聞社が主催する『新印象派――光と色のドラマ』展が開催中です(2015年1月12日まで。東京展は2015年1月24日~3月29日、東京都美術館)。
 監修を担当したのは美術史家、マルモッタン・モネ美術館副館長のマリアンヌ・マチューさん。5歳の女の子をもつワーキングマザーでもあるマリアンヌさんに、展覧会の見どころ、ご自身の子育てと仕事の両立について伺いました。(聞き手は日経DUAL編集長羽生祥子)

マリアンヌ・マチュー
美術史家、マルモッタン・モネ美術館副館長。
フランス・パリ在住。1998年エコール・ド・ルーブル(美術学校)を卒業後、アートオークション会社、フランス政府直轄の文化交流団体、フランス国立美術館連合などにおいて国内外で開催した展覧会の監修を務める。2004年から4年間、オルセー美術館に勤務。海外展担当としてアジアを中心に展覧会の海外巡回促進、講演会、学術協力などを担う。2012年より現職。

点描技法で色彩を表現

―― 『新印象派――光と色のドラマ』展を1時間かけてじっくり拝見しました。とても充実していて、楽しい展覧会ですね。元宝塚歌劇団・宙組トップスターの大空祐飛さんのドラマチックな音声ガイドにも魅了されました。

マリアンヌ 「新印象派」というのは、19世紀の終わりから20世紀初めにかけて革新的な表現を生み出した絵画運動です。「印象派」は絵具を混ぜずに並べて描くことで画面に明るさと輝きをもたらしたのですが、「新印象派」は光学や色彩理論にもとづく「点描」によって表現しているのが特長です。

―― 目に入ってきた光を表現するのに、こんな素敵な方法があるのかと驚きました。

マリアンヌ 今回の展覧会ではモネ、スーラ、シニャック、マティスなど、世界12カ国から約100点の作品を集めました。新印象派の歴史をたどりつつ、画家たちの交流や制作秘話なども紹介していますので、さまざまな魅力を発見、体験していただけると思います。

―― 南フランスに半年ほど滞在していたことがあるのですが、南フランスは本当に光にあふれていて、「この世界に光があること」の幸せを生まれて初めて感じました。今回の展覧会の中にも、スーラやシニャックなど、南フランスの風景を描いた作品がたくさんありますね。思わずあのきらめく風景を思い出しました。

マリアンヌ 南フランスの光というのはとても重要です。今回の展覧会でもクロスやシニャックの作品がありますが、南フランスに移り住んだ画家たちはすぐに画風が変わります。色彩がはっきりとした感じになるんですね。

ポール・シニャック《髪を結う女、作品227》

1892年 エンコースティック、裏打ちされたカンヴァス 59×70cm 個人蔵 (C) Droit Réservé
ポール・シニャック《髪を結う女、作品227》 1892年 エンコースティック、裏打ちされたカンヴァス 59×70cm 個人蔵 (C) Droit Réservé