たとえば、右利きの人がペンを持って文字を書く場合、とくに意識しないかぎり、右肩と左肩の高さに違いが生じます。必ず右の肩が下がって、その右肩を前にまわすような格好になるのです。すると、まず右胸の筋肉が縮み、ついで右わき腹の筋肉、さらに股関節の右前の筋肉も縮んで、右胴体部の筋肉がそろって硬くなります。そして、右肩がだんだん前へ突っ込むような姿勢の悪いクセがついていってしまうことになります。

 子どもの頃から1日何時間もペンを持っていて、それが何年何十年と続いたとしたら、その人は1日1日そういう姿勢に慣れていくでしょう。そして、いつしか右肩が前に突っ込む不良姿勢をとっていても、脳がそれを「当たり前の状態」と認識するようになっていってしまうのです。