子どもが病気になると、「それっ」と様々な準備にかからなければいけません。まずは病院に連れていく手はずを整え、その後、お互いのスケジュールを確認します。保育園に預けることはできないので、病児保育ができる施設に預けるか、どちらかが仕事を休んで子のそばにいることになります。私達夫婦は親から離れて暮らしているので頼ることはできませんが、僕がフリーランスなのでやや時間の融通が利く部分があります(以前は病児保育ができるNPOフローレンスと契約していましたが、子どもが健康で全く利用しなかったため、現在は解約しました)。とにもかくにも、総力戦に突入するわけです。

夫婦はなおハサミの如し

シェリング

『日本語を使いさばく名言名句の辞典』(あすとろ出版)

 これはドイツの哲学者、フリードリヒ・シェリングの言葉です。まず、ハサミは左と右の刃が支点で固く結ばれています。そしてハサミを開くと左右の刃は反対方向に動きますが、間に紙や布を挟むと刃は協力してそれを切断してしまう。夫婦も根っこのところで固く結び付いており、普段はそれぞれ違う動きをしていても、家庭に何かが起こると、二人で力を合わせて困難に対処する。だから、夫婦はハサミのようなものだということなのです。

 わが家でも、夫婦が顔を合わせている時間はそれほど多くはありません。僕は在宅で仕事をしていますが、夜の時間も仕事部屋に籠もりきりのことが多く、お酒を飲みに行ってしまうこともあるので、夫婦の会話がほとんど無い日もざらにあります(前回、あんなこと書いておいて!)。

 しかし、子どもの病気とあれば非常事態宣言! 夫婦がそれぞれ右の刃と左の刃になり、病魔をチョキンと切り取ってやるのです。