オバマ大統領が就任したとき、長女のマリアさんは10歳、次女のサーシャさんは7歳だったが、今それぞれ16歳と13歳になった。たびたび公の場にも登場するが、いつもにこやかで礼儀正しく、落ち着きを備えた子ども達の姿に、「どうしたら、ホワイトハウスにいながら、娘達を“まともに”育てることができるのですか?」とインタビューで聞かれることも多くなった。アメリカの標準からすると、ミシェル夫人の教育ポリシーは相当厳しいと言われる。

 「うちの子も、ミシェル夫人のブートキャンプ(軍隊式教育訓練) に入れて、いい子に育ててもらいたい」と冗談を言うホワイトハウスの関係者もいるようだ。

テレビやコンピューターは週末だけよし

 ミシェル夫人の教育方針とはどのようなものか。主力紙『ニューヨーク・タイムズ』(2012年)は、その一部を紹介している。

 「学校の宿題でなくとも、旅行に出かけたときはリポートを書く」
 「テレビやコンピューターは週末だけよし」
 「スポーツは2つすること。1つは子ども本人が選び、もう1つは親(ミシェル夫人)が選ぶ。強制されてやるのがどんなものなのか、向上するにはどうしたらいいかを経験するためだ」
 「長女のマリアは大学に入学するまでに、洗濯を自分でできるようにする」
 「野菜や果物を食べなければ、食後のスイーツもなし」

クリスマスの恒例慈善イベントに出席したオバマ大統領一家。仲の良さが伝わってくる(写真:代表撮影/UPI/アフロ)
クリスマスの恒例慈善イベントに出席したオバマ大統領一家。仲の良さが伝わってくる(写真:代表撮影/UPI/アフロ)

 オバマ大統領も子育てには積極的に関わってきた。就任間もないころの『ニューズウィーク』誌(2009年)のインタビューでは、オバマ大統領は多忙な身ながら、家族と食事をするために可能な限り18時半までに帰宅し、夕食後は娘達と共に時間を過ごし、20時半に子ども達が寝静まった後、再び深夜までやり残した仕事を片付けると語っていた。子育ての方針はミシェル夫人に任せつつ、協力するという立場のようだ。

 子ども達のプライバシーを守り、できる限り「ふつうに」育てるという、大統領夫妻のポリシーの下、娘達は勉強やスポーツに打ち込みながら明るく伸び伸びと成長している。ミシェル夫人同様、2人の子ども達はアメリカ市民の人気を集めており、ノーベル平和賞受賞のパキスタン出身、マララ・ユスフザイさんらと共に、『タイム』誌の「2014年最も影響力のある10代、トップ25人」に選ばれた。