共働きのわが家にとって、心強いパートナーとなる塾はどこ?

 塾と子どものマッチングはとても大切なことです。けれども、「中学受験は親の受験」と言うように、親のサポート無しではうまくはいきません。DUALファミリーにとって、一番の悩みは、子どもと過ごす時間に制限があることだと思います。

 「けれども、それも塾の選び方次第です」と、小川先生は言います。

 「塾を選ぶときは、子どもの性格を考慮することに加え、自分の家が求めている役割を果たしてくれるのはどこの塾かという視点で選ぶことも重要です。例えば子どもと一緒に過ごす時間が少ないという家庭は、宿題チェックは親がやるのか、塾がやるのかで、親の負担は変わってきます。そういう場合は、宿題が比較的少ない塾を選ぶといいでしょう。
 宿題のチェック程度ならできるけれど、勉強を教える時間までは無いという家庭は、勉強のやり方をしっかり教えてくれる塾を選ぶようにしましょう。親ができないことをプロに頼むという考え方で、賢く塾を活用するのです。誰が何をするかという役割を明確にし、親と塾で子どもをサポートする。それが、中学受験の理想の形なのです」

同じ塾でも教室によって当たり外れがある

 こうして、子どもの性格・体力・学習進度、親ができること・できないことなどを考えてみると、おのずとわが家に合った塾が見えてきます。でも、時に「同じ塾でも教室によって当たり外れがある」と小川先生。

 それを防ぐ方法として、3つのアドバイスをしてくれました。

1) その教室に通っている生徒の様子を観察する
2) 入塾前の学習相談で講師や職員の資質を見極める
3) 教室単体での合格実績を確認する

 では、それぞれに説明していきます。

1) その教室に通っている生徒の様子を観察する

 教室の雰囲気や指導のきめ細かさなどは、通学する子ども達の様子に表れるものです。塾に入っていくとき、または塾が終わって出てくる子ども達の様子や会話に注意を払えば、わが子がその中でやっていけそうかをどうかおおよそつかめるでしょう。

2) 入塾前の学習相談で講師や職員の資質を見極める

 わが子の受験勉強において、家庭ではどんな学習サービスを受けたいのか、まずは夫婦で話し合ってみましょう。勉強の仕方から教えてほしい、宿題管理をしてほしい、家庭学習のアドバイスをしてほしい、授業が子どもの好奇心・向上心を刺激するものであればよいなど、自分達が塾に何を求めているのかをできるだけ具体的に挙げてみます。

 そのうえで、塾の先生に、入塾するかどうかを決めるための学習相談をしてみてください。学習相談では、あなたの家庭が求めていることについて、塾側に準備があるかどうか一つひとつ確認してみましょう。回答が一般論であったり、「私達に任せてください!」など中身がはっきりしないものであったりすれば、「実際にはどういう形で進められるのですか?」「この課題は親が家で解かせるのですか? 本人が自力でできるように先生が指導してくれるのですか?」など、誰が何をするかをしっかり確認しておきましょう。すると、おのずと塾の姿勢と指導力が見えてきます。

3) 教室単体での合格実績を確認する

 毎年、大手塾の広告チラシやエントランスの壁に貼られたポスターには、その年の輝かしい合格実績が載り、あたかもその塾に入れば、合格できるという錯覚に陥りそうになります。しかし、こうした合格実績は、成績上位の子が複数合格していたり、別の教室の実績も含まれていたり、はたまた他塾に通う生徒が模試や特別講座を受けただけでカウントされていたりしていて、正直あまり参考にはなりません。

 ですから、その教室の正確な実績を知りたい場合は、その校舎にはおよそ何人の生徒が通っていて、合格実績はどうなのかを確認します。特に意中の学校の合格者がいる場合、その合格者はその教室の中で、上位何番目に入っていたかを聞いてみるといいでしょう。

 次回は大手塾のカリキュラムの内容について紹介します。

(撮影/稲垣純也、菊池くらげ)