たとえば、ティッシュケースのティッシュを引っ張る定番のいたずらは、子どもにとっては、「わあ、これ、引っ張ってみたら白いのが出てくるよ。いつまでも出てくるよ。ずっと出てくるおもちゃなのかなー!わーい!」と言っているのかもしれません。
 障子を触ることは、大人たちは何とか回避させたいものですが、「四角いのがたくさんあるね。白いね。触ってみたら破れたよ」「おとなりの四角も触ってみたら破れたよ」「ビリリって音が鳴るんだね、楽しいね!」なんて、子どもたちは言っているのかもしれません。

 一方で、パパ、ママたちにとっては、「あーあー(涙)」なのですが。

おむつを袋から出すのが楽しくなっちゃった!
おむつを袋から出すのが楽しくなっちゃった!

「どうして?」は子どもの成長にとって大事なもの

 子どもにとっては、「ちょっと力が強かったのかな?」なんて言えようもありませんから、「音がしたからうれしくなった」「ぴっとやったら音が鳴ったよ」「どう?どう?」と親に報告してきます。
 でも、パパとママは怖い顔。「タンバリンなら音がしたねって笑ってくれるのに。どうしてなんだろうなあ?」と、子どもが話すとしたら、きっと、そんなふうに言っているのではないでしょうか。
 ティッシュが散乱した様子を見ると、親としてはガックリ肩を落としてしまいますが、「ティッシュはたくさん使いすぎてはいけない」「ティッシュケースの紙は限りあるもの」「ティッシュは鼻をかむもの」といった概念がないのが子どもです。大人には、障子は破いてはいけない、音をたててはいけないという概念がありますが、子どもにはありません。

 これらはすべて意欲の表れであり、これは子どもの成長において、すごく大事なことなのです。パパ、ママとして大切にして頂きたいのは、子どもは何事も経験しながら覚えていくということ、「概念」を積み重ねることは、親との関わりのなかで覚えていくのだということです。

 先日、子どもが小さなごはん粒が落ちているのを見つけました。どうするのかなあと見ていると、指でそれをつぶして、ぐちゃぐちゃーっと伸ばし、ねちゃねちゃさせていました。

 そして、伸びたお米を私に見せて「どうどう?」としたり顔。「あら、まあ」と思いながら見ていたのですが、「だめよ」「いけないよ」「きちんとするのよ!」と言っても、子どもは概念がありませんから、ぐっと言葉を抑えて、「次はどうするのかなあ?」と様子を見ていました。子どもと同じ目の高さまでしゃがんで子どもを見ている、それはとてもいとおしい時間でした。