日経DUALでは先日「組織力アップにつながる育休復帰社員の正しい戦力化とは」をテーマに、東京国際フォーラムにてセミナーを開催し、約120人の方々にご参加いただきました。参加者のおよそ半数は企業の人事部門に所属する方々。そのほか秘書部門勤務、スーパーバイザー、リサーチャーなど、幅広い分野の方々が会場に集いました。盛りだくさんのメニューで終始熱気に包まれたセミナーのダイジェストをお送りします。

育休後コンサルタントが教える「3つの失敗」「子育て支援企業への道10ステップ」

 まず、「これが失敗の典型例! 育休復帰社員とそのチームをダメにする3つの共通項」と題した基調講演からスタート。育休後コンサルタントの山口理栄さんを迎え、日経DUAL編集長・羽生祥子とのトークセッション形式でお話を伺いました。育休から復帰した社員の活躍を阻む失敗例として、山口さんが指摘したのは次の3点です。

<上司のミス>
育休復帰社員に産休前よりも易しい仕事を与える、本人の能力以下のノルマを設定する。育休中、ママ社員は地域などで他のママと交流する中、「育休を取得し、職場に復職できる自分」が恵まれていることを再認識し、会社への感謝を強めている。「仕事で役に立ちたい」という新鮮な気持ちで戻ってくるケースも多い。それなのに本人の経験や能力を下回る仕事しか与えず、せっかく高まったモチベーションを下げてしまう――など

<人事のミス>
育休から復帰した社員、育児中の社員のキャリアプランを考えていない。管理職への道筋を作っておらず、研修の機会も提供していない――など

<社長のミス>
育児中の社員の「ライフ」部分を尊重することなく、仕事面のみへのプレッシャーをかけ続け、モチベーション低下につなげてしまう。ライフを大事にしつつ、仕事でも実力を発揮して会社に貢献してほしいというメッセージを、自分の言葉で伝えていない――など

育休後コンサルタントの山口理栄さん
育休後コンサルタントの山口理栄さん

 続いて、山口さんが提唱する「子育て支援企業への道 10ステップ」について、「復帰前・復帰後・日常」の3つのフェーズに分けて解説してもらいました。

「時短社員の給与が減額されていることを、他の社員達にも周知させる」「育児中社員をカバーする社員のほうも評価する」「生産性を意識した評価制度を徹底する」など、実際の職場で起こっている問題を踏まえ、具体的な行動方針を示しました。

 このコーナーでは「あなたの会社は子育て支援企業失格か?」と題したチェックシートも配布。

 そこに記されたチェックポイントは、「社員から妊娠を告げられると『まいったなぁ、辞めるの?』と言ってしまう上司がいる」「社員が子どもを持つと出張に行かせたりチャレンジをする機会を与えたりしなくなる」など。「1つでも当てはまれば子育て支援企業として失格の疑いあり!」とされる8つの項目を見つめる参加者の真剣な顔つきが印象的でした。