水回りをひとかたまりに配置して「ぐるりん動線」に

 家族みんなで家事をこなす家をつくるには、プランニングも重要になる。キッチンや洗濯スペースを広くとることもその一つだが、それらを効率よく配置する工夫も必要だ。

 「水回り関係はなるべくひとかたまりに配置して、家族がぐるっと回りながら家事を同時に済ませられる『ぐるりん動線』がオススメ。浴室や洗面室、キッチンなどは毎日使う場所なので、広めで豊かな空間にしたいところです」

 またLDKは一体の間取りとし、廊下をなるべく省略したい。ドアの建具などを減らしてオープンな間取りにすることで、家事動線を短くし、ゆったりとした家族の居どころ増やすことができる。

 「若いDUAL世代は選りすぐった食器しか持たず、不要なものはすぐに捨てる傾向があるので、食器棚は一昔前より小さくて済むようです。またCDやアルバムなどは持たず、音楽や画像などはなんでもデ-タ化して保存してしまいます。収納を少なくできる分、家族で作業したりくつろいだりするスペースを増やしやすいライフスタイルが定着してきたといえるでしょう」

 DUAL世代にとって負担と考えがちな家事を家族団らんの時間ととらえ、作業スペースを広めで効率的に確保することで楽しく豊かな空間をつくりだす――それが積水ハウスの提案する共働きファミリーが暮らす家「トモイエ」の考え方といえるだろう。

家事ラクを支える安全面への配慮

 家族みんなで家事を楽しむ家では、小さいうちから子どもにお手伝いしてもらうことも多いだろう。そこでポイントになるのが、子どもでも安全に作業するための配慮だ。例えば洗面室で作業する場合、子どもが勝手に浴室に入り、誤って浴槽に転落などしないよう、手の届かない位置にチャイルドロックを設けておきたい。

浴室の扉に設けられたチャイルドロック。子どもの手が届かない位置にある
浴室の扉に設けられたチャイルドロック。子どもの手が届かない位置にある

 またキッチンや洗面室などを行き来しやすい「ぐるりん動線」では、ドアを開け放してもじゃまにならない引き戸が有効になる。ただし引き戸では子どもなどが戸袋に指をはさむ事故が起きやすいため、積水ハウスではオリジナルの指はさみ防止機能を採用している。こうしたちょっとした工夫が、安全で楽しい家事スペースの実現には欠かせない。

指を挟まない構造の引き戸。指が引き戸と一緒に隙間に入るようになっているので安心だ
指を挟まない構造の引き戸。指が引き戸と一緒に隙間に入るようになっているので安心だ

(文/大森広司、写真/菅野勝男)

■共働きファミリーが暮らす家について、もっと知りたい方はトモイエlabへ