「共感的表現」→「肯定的表現」の順番で

 では、ここで一つ問題です。

 太郎くんが、友達におもちゃを取られて「返して」と言えず、友達をたたいてしまいました。
 共感的表現を使いつつ、太郎くんにどうすべきか伝えてください。
 もちろん行動を具体的に表現し、肯定的な表現を使うこともお忘れなく。

 では、順を追って、答えを探っていきましょう。
 まずは、共感的表現から。
 「友達におもちゃを取られて嫌だったんだよね」とか、「『返して』って言えなくて困ってたたいちゃったんだよね」とかです(どこに共感すべきかは、実際に子どもを見たり、やり取りをしないと分かりませんが)。

 次に、子どもに何をすべきかを肯定的に表現します。
 例えば、「友達に謝ろう」です。

 この2つを合体させると、

 「友達におもちゃを取られて嫌だったんだよね。それは分かるよ。でもね、だからといってたたくのはよくないよね。まず、『ごめんなさい』って言いに行こう」となります。

 ところで、共感的表現の使い方を誤ると、
 「友達をたたきたかったんだよね。それは分かるよ」と、変な話になってしまいます。

 でも、大丈夫です。共感の内容が間違っている場合、子どもの反応が悪いので、「あっ、これじゃないんだ」と分かります。そして、徐々に子どもの気持ちへの共感ポイントを見つけていき、子どもの問題行動を穏やかにやめさせられる頻度が少しずつ増えていきます。