こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。今回は、年収についてのお話です。読者の多くは、働いて収入を得ておられるママ・パパでしょうが、「働く人の平均年収ってどれくらいなのか、これから先どうなっていくのか?」という疑問もあるかと思います。本連載のタイトルにある「DUALな疑問」の一つでしょう。

 新聞等では全体をひっくるめた数値が報じられるきらいがありますが、一口に就業者といっても、男性もいれば女性もいますし、正規雇用者や非正規雇用者もいます。こうしたカテゴリーごとの平均値を出すことで、多くの人が膝を打つ「年収のリアル」を明らかにしてみようと思います。ですが、それは日本の格差社会の姿を浮き彫りにすることでもあります。半ば好奇心、半ばガチの感覚でお読みください。

30代後半の男子正社員、平均年収は約480万円

 用いたのは、総務省『就業構造基本調査』(2012年度)の統計です。本資料には、就業者の年収分布が掲載されています。年収の定義は「賃金、給料、手間賃、諸手当、ボーナスなど過去1年間に得た税込みの給与総額」だそうです(用語解説)。このデータを使って、それぞれの属性群の平均年収を計算しました。30代後半の男性正規職員を例にして、計算の方法を説明します。

 原資料によると、年収が分かる30代後半の男性正社員は約349万人です。表1はその年収分布ですが、年収400万円台が79万人と最も多くなっています。分布の形状を見ると、真ん中に山があるきれいな型です。