詰め込み教育にとらわれない子どもの時間

 今回取材した広尾シュタイナーこども園では、週1日から通える1~2歳児クラスと週5日制の3~5歳児クラスがある。1~2歳児クラスは定員9名で、毎日手作り給食が付く。3~5歳児クラスは週1日の給食で、それ以外はお弁当持参。定員は18名だが、縦割りクラスのため卒園した人数の分だけ次の年の入園枠としている。

 3~5歳児クラスは、基本は9~14時。延長保育は最長18時まで。現在は16時半くらいまで延長する子が数人いる程度で、共働きの家庭の場合はどちらかがフレキシブルな働き方をしている人が多いそう。私営のこども園のため、特に就労に関する規定はない。

 ただし、入園希望者は決まった申し込み時期に申請し、その後面談を行う。やはり保護者がシュタイナー教育を一緒に実践していきたいという理解が重要だという。保育料は、3~5歳は月4万8000円(9~14時の場合)で延長は有料(入園料は別途)。それ以外に設備費、給食費などを年に1度まとめて払う。

 「詰め込み教育や学歴社会にとらわれない、もっと大事なものを子どもの教育に望む保護者が多いです。教え込む教育というのは一切しませんが、子ども達はプロセスのすべてを体験しているせいか、小学校進学後や大きくなってからも勉強や物事の理解度がとても高いという話をよく聞きます。必要な力が自然と身に付いているんでしょうね」

 フルでバリバリ働いている共働き夫婦には、正直、送迎や弁当作りが難しいこども園という選択肢。しかし、自然に即したここの生活で育った子ども達が、一体どんな大人になっていくのかを想像するだけでとても楽しみな気持ちになった。

(取材・文/岩辺みどり)