過労で体を壊した正社員時代。やりたい仕事ができないことが、一番悔しかった

なかなか時間がとれないけれど、子どもの服を縫うのが趣味。この帽子も手編み
なかなか時間がとれないけれど、子どもの服を縫うのが趣味。この帽子も手編み

 正社員時代、過労で体を壊したことがあります。病気になるまでは、本当に仕事が楽しくて、残業が続いても全然苦にならなかった。一番苦しかったのは、病気で休職後、仕事に復帰した直後の時期です。上司も病後の私に気を使っていて、任されたのは前線の仕事ではなくサポート業務。やりたい仕事ができないことが、何よりも悔しかったです。

  私は色々な企業とお付き合いできるコンサルティング、研修という業界が好きで、自分に合っていると感じています。ただ、コンサルティング会社は、その性質上、社員に対して短期間で極めて高いパフォーマンスの発揮を要求します。もし育児と仕事を両立させながら会社が求める成果を出そうとするならば、自分の健康が損なわれてしまうでしょう。

 かと言って短時間勤務で働き始めれば、「配慮が必要な人材だから」とサポート的な業務に回されることは目に見えています。コンサルタントとしてのキャリアを続けたい。でも、働く時間は自分で決めたい。2つの条件を両立するために「フリーランス」という働き方を選びました。

 もちろん、フリーランスという働き方にはリスクもあります。収入が安定しないうえ、将来の保証もありません。会社のお給料は、毎月決まった額が、自動的に振り込まれます。一方、フリーランスは、自分が頑張った分だけ対価を受け取る。報酬に見合った成果を出さなければならないという緊張感はありますが、働いた実感がお金と結び付いているんです。だから今は、お金を頂くことが本当にうれしいです。

 会社勤めのころは、自分の中に「最後は上司がサポートしてくれるだろう」という甘えもあったと思います。上司というのは責任を取るものだと思っていたから、自分が管理職になるのが怖かった。
 けれど今、フリーランスになり、裁量が増えたことで、自分一人で責任を取っていくんだと腹が据わりました。
リスクをとる代わりに、やりたい仕事を、自分のスタイルでやる。仕事が来るのを待つだけでなく、自分から動いて、人とつながり、できることを広げていく。そんな働き方が、自然にできるようになったと思います。

夫が10カ月の育休を取得、家事は100%担当。夫婦で交わした「約束」

近所を散歩中のひとコマ。楽しそうに歩く姿を見るのが幸せ
近所を散歩中のひとコマ。楽しそうに歩く姿を見るのが幸せ

 わが家では、出産後、夫が10カ月間の育児休暇を取得しました。夫の勤務先は大企業ですが、妻が仕事に復帰したいという理由で男性が育休を取得したのは、会社としても初めてのことだったようです。

 夫はもともと、家事や育児に抵抗がないばかりか、むしろ進んでやるタイプ。1歳3カ月になる息子は後追いが激しく、私と2人でいる間は家事をするのも難しい状態。そこで19時ごろ帰宅する夫が、料理、洗濯、掃除など、家事を100%担当しています。

 働き続けることで自己肯定感を得ていたい私は、夫の協力なくしては働き続けることはできません。育児休暇も取得し、今も家事・育児に協力してくれている夫にとっては、仕事に全力投球できない状況かもしれません。だからこそ私の「覚悟」を夫に知ってもらうために、夫婦である「約束」をしています。今、私が助けてもらっている代わりに、この先何があっても、私は一生働き続ける。現在の仕事ができなくなっても、何らかの形で必ず仕事を続けていく。それが、私達らしい家族の在り方だと考えています。