ワークショップは「最初に前半に紹介された調査についてどんなことを感じたか」「子どもとスマホと親の関わり方について考える」「子どもにスマホを使わせるときのルールを考える」という3部構成。

 各テーマについて話し合う中で、「スマホを使った育児の前例がないため、どう使わせればよいのか分からない」「小さいころからスマホを使っていると、脳への影響が心配」と、悩んでいる現状を訴える声もありました。

 最後のルール作りでは「一日の利用時間は?」「使わせるアプリの選択基準は?」「子どもの前で自分が使うときは?」などの問いに対する答えを思いつくまま付箋に書き出し、その付箋をグループごとにまとめて発表しました。

スマホのルールを付箋に書き出すお母さんたち
スマホのルールを付箋に書き出すお母さんたち

 そこで決まったルールは、「利用時間は、1日20~30分以内」「必ず親に使っていいかを確認する」「画面にYes/Noが表示されたら、勝手に進めない」「使うアプリは勝手に決めず、親に相談する」など。これを守るための工夫としては「スマホにロックをかけて、子どもだけで使えないようにする」といった案が出ました。

 興味深かったのは「無料アプリではなく、有料アプリを使う」というルール。「無料アプリは、広告が表示されるものが多く、間違えてその箇所をタップし、課金してしまう可能性がある」からだそうです。「有料アプリにすれば、親から子に『お金がかかるんだから、何でも入れられないよ』ということも伝えられる」というメリットも挙がりました。

子どもの未来を守るため、家族みんなで取り組みを

 セミナーの最後は、松田さんによる「子どもにスマホを使わせるときの注意」です。ここでは以下の3点が挙げられました。

(1)大人がオンラインゲームをした後はログアウトしてから渡す
(2)オンラインショッピングをしたらクレジットカード番号が残らないようにする
(3)インターネットを使わせるときはフィルタリングをかける

 「このところ、中高校生の間で様々なネットがらみの事件やトラブルが起きています。子どもをこういったリスクから守るためには、小さいときから子どもと親が一緒に考え、けじめをつけながら、子どもが自分自身で体や心を守っていけるだけの自律心を育てることが重要です」(松田さん)

「ネットの危険から子どもを守るため、正しい使い方を教えるのは親の愛」(松田さん)
「ネットの危険から子どもを守るため、正しい使い方を教えるのは親の愛」(松田さん)

 そのために必要なのは大人が子どもと一緒に、インターネットリテラシーを学んでいくこと。「今回のワークショップのように、子どもと一緒にルールを作ったり、生活とのバランスを一緒に考えたりするなど、家族全員で取り組む必要がある」と松田さんは強調してワークショップは終了しました。

 セミナー終了後、松田さんに感想を聞いてみました。

 「乳幼児のスマホの使い方は、法律や常識では解決できません。ワークショップで真剣に話し合うママ達の姿を見て、子どもにスマホを使わせることに対する不安や悩みが大きいことと、他のママと話し合う場が必要だということを、改めて感じました」

 スマホの使い方について一人で悩むより、他のお母さんと話し合ってみるのもよいかもしれませんね。

(文/井上真花 写真/勝山弘一)