結婚、あるいは夫婦仲に言及している名言は、星の数ほどあります。明治から昭和にかけて活躍した小説家、野上弥生子のこの言葉も多くの名言集で引用されているので、目にしたことがある読者の方もいるかもしれません。

 浮気や金銭問題などのはっきりした原因がなくても、何となく夫婦仲がギクシャクしてしまうことがあると思います。それは「お互いに愛し合って結婚したはずなのに、なぜ仲良くいられないんだろう?」という思いが先にあるからなのかもしれません。

 仲が良い状態がデフォルトだと思っているから、今抱えている自分のイライラや相手の不満げな様子がさらにとがった状態で自分の心に突き刺さってくる。野上のこの言葉は、夫婦の仲が良いことは当たり前の状態ではない、ということを言っています。

夫婦が仲良く過ごすにはお互いの努力が必要

 夫婦間の感情の行き違いは、少しずつの努力で解消されることも多々あると思います。お互いのスケジュールを確認しておく、お互いの体調を観察する、お互いの生活様式を尊重する、などなど。

 むろん、全部ができるとは限りませんし、それで夫婦仲がすこぶる良くなるという保証はありません。でも、夫婦仲を良くするにはお互いの不断の努力が必要だということをまず認識しておくことは、決して悪いことではありません。

結婚生活は長い会話である。

ニーチェ

『人間的な、あまりに人間的な』

 ドイツの哲学者、ニーチェの言葉です。この言葉の後には、こう続きます。「結婚生活ではすべて変化していくが、一緒の時間の大部分は会話に属する」。ここで語られているのは、結婚生活における会話、つまりコミュニケーションの重要性です。夫婦といえども元は他人。面倒がってコミュニケーションを取り続けないと、相手のことを見失ってしまう可能性だってあるでしょう。日々のこと、将来のこと、子どものこと、お互いのこと。夫婦が話し合うことはたくさんあります。