草の根からもスタートできる支援
ここまでネウボラについて知ると、「フィンランドは制度が整っていて羨ましい」と指をくわえて眺めてしまうかもしれない。しかしネウボラは実は民間有志による草の根活動から始まったものなのだ。
1920年代に新生児の死亡率が高かったころ、小児科医や看護師らの有志によって少しでも乳幼児の健康を守るために始められた。今よりも医療的側面の強い活動だったそう。それが徐々に広がり、国の制度の一つとなるほどに認められたのは20年以上後。今では全国に約800カ所のネウボラがあり、制度化されている。
妊娠から子育てまでの切れ目のない継続的支援を日本でも広げようという動きも始まっている。今回フォーラムが行われた世田谷区では、現在ある子育て支援を活用しながらも、継続的かつ総体的な支援サービスをネウボラを参考にしながら進めていくという。
日本でも安心して子どもを産んで育てられる、社会全体から「赤ちゃんようこそ!」と言われるような環境を目指すうえで、フィンランドのネウボラモデルから学ぶことは多い。
取材・文/岩辺みどり 写真/松本のりこ