世界では、国際バカロレア認定校の52%が公立の学校
最も懸念されているのが教員の育成だ。外国人教員はどのくらい認められるのか、これから教員になる若い人材を育てることはできるのか。
既に、教職課程のあるいくつかの大学では、国際バカロレアを教えるための資格が取得できるようになっている。しかし、本当に200校まで増えるとしたら、教員の数が足りなくなるという懸念は拭えない。また、その質も重要になるため、優秀な外国人教員が来たいと思えるような条件も必要だろう。教育確保という点について、今後どうしていくか、その対応を注視していきたい。
坪谷さんは、国際バカロレアを一部のインターナショナルスクールや私立校だけではなく、将来的には日本の公立校にも広げたいという目標を持っている。
「日本では、インターナショナルスクールや一部の私立校限定のカリキュラムのように見えてしまいますが、世界的に見れば、国際バカロレア認定校の52%は公立の学校なのです。ゆくゆくは日本の公立でも取り入れられ、一部のエリートやお金持ちだけではない、多くの人が学べる教育になればと思っています」
小学校から高校までの学齢期に学んでほしいことは、勉強の知識だけではない。
多様性を受け入れて、共に学び生き抜いていく仲間をつくること。
常に自分の心と向き合い、頭で考え、調べ、行動に移すこと。
苦手なことも、努力を積み重ねるとできるようになる、という小さな成功体験を得ること。
そして、自分の家族やコミュニティーを大切にして、自分自身を大事にすること。
国際バカロレア教育が注目を集めるようになったのは、200校の導入だけが理由ではないと私は思う。親達が勉強や学歴だけを求める時代が終わりつつあるからではないだろうか。わが子に「世界で生きていけるチカラ」を身に付けてほしいと願う親は確実に増えている。
国際バカロレアの導入、センター試験の廃止を経て、日本の教育はどう変わるのか。期待したい。