「生まれてくれてありがとう!」。子どもが生まれたとき、そんな言葉を国から贈られたらどんなに温かな気分になるだろう。フィンランドでは、生まれた子ども全員に無償で配布される育児パッケージがあるそう。衣類からオムツ、そして避妊具まで、約50点が入った両親へのお祝いセットには、どんな思いが詰められているのだろうか。

 妊娠から子どもが成長していくまで切れ目なく支援していくフィンランドの「ネウボラ」を道標として、日本での子育て支援を考え活動していく「ネウボラ・フォーラム」が2014年9月3日に東京・世田谷区で開かれた。その内容から2回に渡ってフィンランドの育児支援をお伝えする。

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 OECDの学力調査で1位となり注目を浴びたフィンランド。その理由は、詰め込み型の教育ではなく、読解や対話など子ども達に成長過程で本当に身に付けていってほしい能力をしっかりと見据えているから。男女平等も早くから重要視され、今でも国会議員の40%以上は女性。女性も小さな子どもも高齢者も、みんなが同じ一人の人間として平等に大事にする風土が根付いている国でもある。

 フィンランドでは、出産が近づくとKELA(フィンランド社会保険庁事務所)から両親に国からのプレゼントが渡される。これは母親支援の手当の一つで、現金支給か育児パッケージのどちらかから選ぶことができる。現金支給だと約140ユーロ、育児パッケージだとその倍以上の価値のある育児グッズがもらえることもあり、赤ちゃんを迎える家庭の3分の2が育児パッケージを選択するという。