ちなみにこの育児パッケージは、男女関係なく同じセットがプレゼントされる。そのため、衣類や中身もニュートラルな色が選ばれているそう。また、毎年衣類の色やデザインも変わるからこそ、同じ年に生まれた赤ちゃんは同じ服を着ているという一体感も生まれるという。外出先などで同じデザインの服を着ていることから、親達の話が弾んだり、連帯感が生まれるといういい効果もある。
1+1=3? 手厚い双子、三つ子ケア
日本では、双子が生まれると母子手帳は2冊もらうが、妊婦健診の助成がされる受診表は妊婦1人に付きの同じ枚数の支給となる自治体がほとんど。健診が多くなりがちな多胎児妊娠でも、助成はあまり変わらない場合が多い。
しかし、フィンランドの子育て支援に詳しい吉備国際大学教授の高橋睦子先生によると、
「フィンランドでは、双子が生まれる場合には3箱の育児パッケージが送られます。1+1=2でもなく、1人目は1つ、2人目は2つといった考え方なのです。これは、それだけ多胎児育児の大変さがプラスされることを理解していることでもあります。双子が生まれた家庭には3箱、そして3つ子の場合には同じ考え方で6箱なんです」
と驚く支援体制があるそう。
子育ては楽しいだけじゃなく大変なこともあることを理解し、親の支援も含めて「生まれてくれてありがとう」と国として迎え入れるフィンランドの考え方を表した育児パッケージ。この箱を受け取って、出産までのカウントダウンを幸せに待つプレママ&プレパパの顔が思い浮かぶような魔法のボックスだ。
取材・文/岩辺みどり 写真/松本のりこ