こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。

 前回の記事「大卒で正社員就職率が高いのはどの専攻?」では、大卒の正社員就職率が高いのはどの専攻かをみたのですが、「理系>文系」「女子>男子」という傾向が分かりました。両者を合わせると理系の女子、いわゆるリケジョが重宝されていることになります。

 しかし、もったいないといいますか、わが国では理系の道を志す女子は少ないのが現状です。大学生の女子比をとっても、全体では44%ですが、理学専攻では26%、工学専攻ではわずか13%です(文科省『学校基本調査』2014年度)。「まあ、そんなもんっしょ」という印象もあるかと思いますが、他の社会ではどうなのでしょう。今回は国際比較により、日本のリケジョ事情を相対視してみようと思います。

 私は、理系職を志望する女子高生の割合が国によってどう違うかを調べました。参照したのは、OECDの国際学力調査PISA2006の結果です。この年の調査では、対象の15歳生徒(高校1年生)に対し、「将来、理系の職に就きたい」という項目にどれほど当てはまるかを尋ねています。図1は、主要国の女子生徒の回答分布です。無効回答は分析から除外しています。

 日本は、欧米と比べて肯定の回答が少なくなっています。「とてもそう思う」+「そう思う」の割合は、アメリカでは43.6%ですが、日本は16.7%です。前者では女子高生の半分近くが理系職を志望していますが、日本では6人に1人。お隣の韓国も肯定率が低くなっていますが、共通の文化のようなものを感じます。