30歳男性と45歳男性では、妊娠率は20%減少する

 最近は、卵子の老化については耳にする機会が多くなってきましたが、男性の年齢について議論されていることはほとんどありません。では、男性は本当に何歳になっても子どもをつくるのに問題ないのでしょうか?

 最近の研究では、男性も加齢に伴って「妊孕力」(妊娠する・させる力)が低下することや、男性の加齢が出生児に影響を与えるといった報告がなされています。

 デンマークで行われた研究で、妊娠に及ぼす「男女の年齢の影響」だけを計算したところ、男性も女性も30歳の妊娠率が最大であること、男性の妊孕性の低下は女性と比べ極めて緩やかではあるが、30歳のときと比べ45歳で妊娠率は20%減少すること(*20)などが報告されています。

(図1 <span style="font-weight: bold;">*20</span>より改編)
(図1 *20より改編)

 さらに、男性の年齢が「妊娠しやすさ」だけでなく、生まれてくる子どもにも影響を及ぼしていることが分かってきました(*21-24)。

(表1 <span style="font-weight: bold;">*23</span>より改編)
(表1 *23より改編)

 女性の加齢と先天異常の発生、特にダウン症の発生率との関連はよく知られています(「30歳が1カ月で妊娠できる確率は20%、40歳で5%」参照)。

 男性は「自分はいつまでも大丈夫」と、子どもを持つことを考えることも、検査を受けることも、ついつい後回しにしてしまう傾向があります。ですが、男性の年齢も多少ですが、出生児に影響することを理解し、カップルでできるだけ早い時期から、子どもを持つことについて話し合う機会を持ち、考えていっていただきたいと思います。