男性が自分でできる妊活 5つのポイント

 さて、検査を受けた男性も、受けていない男性も、妊活を考えている場合には、女性の場合と同様に、心身ともに健康な生活を送ることが大切(*1-3)です。その他、男性が自分でできる妊活のポイント5つをまとめてみました(女性の妊活については、「自分でできる“妊娠しやすい体”のつくり方」を参照)。

1. 【禁煙】
 喫煙が多くの疾患を引き起こすことは、皆さんもよくご存じかと思います。男性の生殖機能にも悪影響を与えることが知られています(*4)。具体的に言うと、精子形成に影響を与え、精液所見は喫煙本数に比例して低下します(*5)。流産や子宮外妊娠のリスクも増加し(*6)、勃起不全(ED)の原因にもなるのです(*7)。卵子にも精子にも、そして受精卵、胎児にも悪影響を及ぼすことを踏まえ、妊活中の方にはカップルでの禁煙をお勧めします。

2. 【健康的な食生活】
 健康的な生活を送ることは、精子形成にもプラスの影響をもたらします。毎食食べることや、シリアルやフルーツ、野菜を食べることは、精液所見に良い影響を与え、アルコールの過度の摂取は、悪影響を与えると言われています(*8)。バランスのよい食事の摂取や、アルコールの摂取は適量にとどめることを心がけましょう。

3. 【精巣を熱から守る】
 あまり知られていないのですが、精巣はとても熱に弱い臓器です。温度が数度上昇するだけで精子形成にダメージを与えると言われています。そのため、熱くなる物を精巣付近に近づけないようにすることが肝心です。

 a. ブリーフでなく、トランクスを
 下着の種類によって、精巣表面の温度が変わり、温度が上昇すると精液所見に悪影響があります。例えば、トランクスを着けている男性と、ブリーフをはいている男性では、トランクスを着けている男性のほうが精液所見が良いという研究がいくつもなされています(*9, 10, 11)。精巣の温度上昇を避けるために、通気性の良い下着を着るようにしましょう。

 b. 長風呂、長サウナは控える
 長時間の入浴もサウナも、どちらも精巣に熱のダメージを与えてしまいます(*12)ので、なるべく控えめにすることをお勧めします。

 c. 膝上でノートパソコンを使わない
 ノートパソコンを膝の上に乗せて作業をしていると、PCの熱で精巣表面の温度が上がり、悪い影響があります*13)。そのため、PCを膝の上に乗せて作業することは避けましょう。

 d. 自転車・バイクに乗り過ぎない
 サドル先端部分による会陰(えいん)部の圧迫(*14)、肌に密着したトレーニングウエアによる体温上昇などが、生殖機能へ影響を及ぼす可能性が指摘されています(*15)。また、過度に自転車に乗ることが勃起不全を招くリスクも報告されています(*16)ので、妊活中の男性は、自転車やバイクにはあまり乗り過ぎないことをお勧めします。

4. 【禁欲しない】
 精子は常に生産されており、射精を多く繰り返すことで精子の量が減るということはありません。逆に、禁欲期間を置いてしまうことが、精子の状態の悪化につながることが知られています(*17)。妊活中の方は、禁欲は禁物と覚えてください。

5. 【育毛剤を飲まない】
 男性ホルモンを抑制する成分(フィナステリド)が含まれている育毛剤によって、精子数が減少したという症例報告もあります(*18, 19)ので、不妊治療中の人は、できれば育毛剤の服用は控えたほうがよいでしょう。