子ども(部下)のサインに気づくことがトラブル防止に

(1) 観察する力

 人は悩みや問題を抱えているときに、必ず“サイン”を発します。それは非常にわずかなサインかもしれないけれど、それを見逃さずにさりげなく声をかけ、状況を把握する力は思春期育児においても部下育成においても重要!
 僕は会社員でマネジャーをしていたころ、毎朝の朝礼が非常に面倒でしたが、部下の表情チェックの機会として役立てていました。ずっとうつむいていたり、なんか身だしなみがおかしかったりする部下がいたら、朝礼後に「昼に飯でもどう?」と声をかけて話を聞くようにしていました。すると、特に僕が根掘り葉掘り聞き出さなくても、トラブルに発展しそうな問題や、家庭での悩みを話してくれたりするんですよね。であれば、僕の立場としてできるフォローは何でもする。そうやって、“小さな芽”の段階で問題を察知することがリスク管理の点でも大事だと思います。特に子育てや介護真っ最中のメンバーが一人でもいるチームであれば、「問題が起きる前に解決する」アクションは必須でしょう。

余計なことは言わない。さりげなくそばにいるだけでOK

 同じように、思春期の子どもの様子もよく観察することが、トラブル防止に不可欠です。僕自身も、子ども達の表情やちょっとした行動を見て、少しでも気になることがあれば、仕事の移動中にちょっとメールを入れてみたり、家にいられる日は「今日はパパいるから、夕飯一緒に食べようぜ」と声をかけたりします。ここで力んで「何かあったのか! いつでもパパに相談するんだぞ!」なんて鼻息を荒くしたら、子どもは一気に引きますので要注意。さりげなく「一緒にいよう」と伝えるだけでOK。子ども自身が「言ってもいいかな」と心を開放したときに、自然とメッセージを発信してくれますから。
 実際、こういうふうに僕が時間をつくって、その日に何も聞けないときだってよくあります。でも、後になって「実はあのとき、こうだったんだ」と教えてくれることって、結構あるんですよね。