7月4日掲載の本連載では、しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さんに、ひとり親家庭の実情と共働き家庭の共通点についてお話しいただきました(「ひとり親家庭の悩みは、収入の低さと時間のなさ」)。今回は、ある地方都市でシングルマザー同士の交流の場となる「カフェ」を開催する3名に集まっていただき、地方で暮らすシングルマザーのリアルな日常生活について語っていただきました。

■座談会・参加者プロフィール

安藤さん(仮名):30代。福祉職員。2人の小学生を持つ。
肥田さん(仮名):30代。パソコン講師。中学生の息子を持つ。
志村さん(仮名):団体職員、プレママ。
 (文中・敬称略)

できることなら子どもを学習面でも支えたいが…

この「カフェ」で、シングルマザー同士が心置きなく話ができる場を提供
この「カフェ」で、シングルマザー同士が心置きなく話ができる場を提供

治部 今、お子さんはおいくつでしょうか。

安藤 小学校高学年になりました。ちょっと勉強で分からないところが出てきたので、塾に行かせてあげられたら、と思いますが、費用の面で難しい。ここでお金をかけられるかどうかが、子どもの教育という意味では最初の分かれ目なんだろうなと感じています

肥田 うちは中学生です。やはり進学でお金がかかりますね。野球部に入っているので本人は野球の強い私立高校に行きたいはずですが、「うちは無理」と諦めているようです。

―― どんなお仕事をしているのですか。

安藤 私は福祉職員です。年収は400万円を超えていますが、一人で2人の子どもを養うのは楽ではありません。市内には母子家庭割引をしている塾もあるのですが、児童扶養手当をもらっていることが条件になっています。私は児童扶養手当を受けられる年収を40万円強上回っているので、割引対象外なのです。

肥田 私はパソコンの講師をしています。数年前に引っ越してきたので、地域によってシングルマザーの置かれた環境もだいぶ違うと感じます。前に住んでいた街では、子どもの保護者会で「私はシングルです」とオープンにしていましたが、この街はそういう感じではないですね。

―― お仕事をして育児をする傍ら、同じ立場にあるシングルマザー支援をしているそうですね。どんなことをしていますか。

志村 毎月1回、10人弱で集まる「カフェ」を開いています。お茶を飲んだりお菓子を食べたりしながら、リラックスして同じ立場のママが集まって話せる環境をつくっています。会場は地域の女性センターを借りていて、託児サービスなどのコストは、東京にあるNGOから年間100万円の助成を受けて賄っています。このNGOからの助成が来年3月で終わるため、今後どういう形で活動を続けるか考えているところです。