余計なリフォームを回避! 高齢期も見据えて検討する

 室内のメンテナンス費用を抑えるのに効果的なのは、リフォームで間取り変更をせずに長く暮らせるプランを採用することだ。特に高齢期の暮らしが視野に入る50代以降での家づくりや、二世帯住宅を建てる際には考慮が必要だという。

河崎さんは「高齢期のメンテナンスなども視野に入れることが大事」と話す
河崎さんは「高齢期のメンテナンスなども視野に入れることが大事」と話す

 「例えば高齢者が利用するトイレは介護が必要になるケースも考えて、広めのスペースを確保しておくことが望まれます。トイレが広いと小さな子どものサポートもしやすくなるので、ファミリー世帯にもオススメです。また高齢者の寝室の近くにトイレやちょっとした手洗いなどを設置することも、清潔に暮らすうえで欠かせません。こうした間取りをリフォームで後から作ろうと思うと費用がかかるので、新築時から考慮しておきたいところです」

 高齢期は年金が収入のベースとなるため、メンテナンス費用はもちろん、月々の光熱費の負担が重く感じられるようになる。

 「若い世代と異なり、高齢者は日中も家にいる時間が長いので、光熱費がかさみがちです。例えば太陽光発電システムを設置して昼間は自宅で発電した電気を利用する暮らし方も、高齢者にとっては安心感が高いでしょう」

 省エネで光熱費を削減できて、リフォームなどにお金をかけなくても長持ちするよう配慮することは、長く快適に暮らすために欠かせない家づくりの工夫と言えそうだ。

相続税改正で注目される二世帯住宅

 来る2015年1月1日から相続税が改正され、大幅な増税になることが決まっている。試算では、相続税の課税対象者が、1.5~2倍に急増すると言われている。特に首都圏の駅徒歩圏では何らかの対策が必要となるケースが増えそうだ。父母が自宅以外に大きな資産を所有しておらず、これまでは相続税がかからなかったケースでも、来年からは課税される場合が多くなると考えられる。

 ただし亡くなった親と同居していた子が相続した場合には特例が適用され、自宅の相続税評価額が2割に下がって非課税となるケースが少なくない。そこで注目されているのが二世帯住宅だ。

 というのも、内部で行き来できない完全分離型の二世帯住宅の場合、2013年までは特例の対象にならなかったが、改正により2014年からは特例が使えるようになったからだ。親の自宅を相続すると多額の相続税がかかりそうな場合は、早めに二世帯住宅に建て替えるのも一つの方法だろう。親が駅近の戸建や商店、事務所を所有している人は一度調べてみる価値がありそうだ。

(文/大森広司、写真/菅野勝男、武田光司)

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