「組織力アップにつながる育休復帰社員の正しい戦力化とは?」をテーマに、育休後コンサルタント・山口理栄さんに話を伺います。前回の記事では、「育休復帰社員に責任ある仕事を任せられない」という課題に対する改善策として「育休復帰社員から、最大限の力を引き出すには?」というテーマで話していただきました。今回は、もう一つの典型的な失敗例、育休復帰社員のいるチーム内に業務負荷のばらつきが生じ、苦情が出た場合の対処法について伺います。

誰しもが仕事を“見える化”し、上司は部下の現状把握を

育休後コンサルタント・山口理栄さん
育休後コンサルタント・山口理栄さん

 前々回から2回にわたり、「育休復帰社員に責任ある仕事を任せられない」という復帰社員戦力化の失敗例と、その改善法をお話ししてきました。もう一つの典型的な失敗例が「育休復帰社員のいるチーム内で、業務負荷にばらつきが生じてしまい、社員から苦情が出る」というものです。

 育休から復帰した社員が子どもの病気などで休んだ際、特定の人にだけ余計な負荷がかかってしまうのは、やはり問題。復帰社員の側は、子育てを理由に休まなくてはならなくなったときの対応策を用意しているはずです。「この仕事は誰々に頼み、あの仕事は誰々にお願いする」といった具合に。

 サポートする側は、それを自分の中にとどめず、上司と共有しておくことが必要です。実力のある社員に、ある程度負荷がかかってしまう面は否めないとしても、いつも同じ人に仕事が回っていく事態は避けるべきです。

 上司は、復帰社員だけでなく、チームの他の社員からもよく話を聞いておきましょう。その際、何か気になることがあったら、復帰社員本人ではなく、「上司である自分に言ってください」と伝えます

 有給休暇を取ろうとしない社員を、きちんと休ませることも必要です。休むということは、自分の仕事を“見える化”しておくことにつながります。休みが多くなりがちな育休復帰社員を尻目に、「休まない私は偉い」とばかりに有休を取らない人には、休みを取ることの効用を気づかせるべきです。

 それから、育児の問題に限らず、部下が置かれているそれぞれの状況をよく把握しておきましょう。実家の親が病気のため、休日は遠方まで通っているとか、学校に通って何かを勉強しているとか、部下一人ひとりの事情に配慮する姿勢が大切です。また、苦情は上司である自分のところに来るようにしておきます。