動作音の大きさは発表されていませんでしたが、同社のコードレス掃除機「DC45」を使っているのと同じくらいの動作音がするように感じました。ただ、ロボット掃除機は在宅中ではなく外出中などに使うものなので、動作音についてはそれほど気にする必要はないかもしれません。

 もう一つの「1回の掃除時間が短い」というのは、割と深刻ですね。ダイソン 360 Eyeは約2時間で充電が完了し、1回の掃除時間は20分から30分程度とのことです。ルンバシリーズの最新モデル「ルンバ800シリーズ」が1回最大90~120分とのことなので、ちょっと不安感が残ります。

ダイソン 360 Eyeの掃除時間は1回20~30分程度です(ダイソンのWebサイトより)
ダイソン 360 Eyeの掃除時間は1回20~30分程度です(ダイソンのWebサイトより)

 そこで採用したのが、360°全周を撮影できるカメラ「360 Eye」を利用するナビゲーションシステム「360° ビジョンシステム」です。

360°全周を撮影して自機の位置を把握し、効率的な動作を実現

 ロボット掃除機の動き方は、部屋中をランダムに動き回る「ランダムナビゲーション」と、カメラなどで部屋の間取りを認識し、縦横ジグザグに動く「システムナビゲーション」の2つに大別されると先ほど述べました。ダイソン 360 Eyeは機種名にもある360°カメラ「360 Eye」を搭載し、部屋の間取りやインテリアの位置、自機の位置を把握してシステマチックに動くナビゲーションシステム「360° ビジョンシステム」を採用しています。

本体上部に搭載する360°カメラ「360 Eye」
本体上部に搭載する360°カメラ「360 Eye」

 充電ステーションから離れて掃除をスタートすると、すぐに本体上部に搭載する360 Eyeが全周囲を撮影し、部屋の間取りや自機の位置、充電ステーションの位置などをマッピングします。周囲を毎秒30コマ撮影することで状況を把握しながら、らせん状の動きで無駄なく掃除していくというものです。

 掃除をスタートすると、部屋の間取りがマッピングされ、既に掃除した箇所、まだ掃除していない箇所などを記憶します。1回で20~30分程度しか掃除できないため、広い部屋の場合は1回で掃除が完了しない場合もあります。しかし掃除が完了したことを確認するまでマッピング情報は破棄されないので、充電ステーションに戻って約2時間充電した後に、充電前に掃除を一時停止した場所から再開するという仕組みになっています。

 ルンバは同じ場所を平均4回、色々な方向から掃除することで、人の目には見えないようなゴミやハウスダストまで掃除するとうたっています(iRobotホームページより)。吸引力の強さか、掃除時間の長さか。このあたりにも両社のアプローチの違いが見えて興味深いですね。

本体上部にある360 Eyeカメラによって周囲360°の映像を毎秒30コマ撮影し、部屋の形状や家具の位置などを把握してマッピングするという
本体上部にある360 Eyeカメラによって周囲360°の映像を毎秒30コマ撮影し、部屋の形状や家具の位置などを把握してマッピングするという

360°ビジョンシステムのマッピング方法を解説するダイソン氏。右は360°ビジョンシステムによって把握した部屋の形状と、ダイソン 360 Eyeが掃除した軌跡を表したものです
360°ビジョンシステムのマッピング方法を解説するダイソン氏。右は360°ビジョンシステムによって把握した部屋の形状と、ダイソン 360 Eyeが掃除した軌跡を表したものです

移動は「無限軌道」を採用 スマホで操作も可能

 もう一つ特徴的なポイントがあります。それが、駆動輪に「車輪」ではなく「ベルト駆動式転輪」、いわゆる「キャタピラー」(キャタピラーは米キャタピラー社の登録商標)や「無限軌道」と呼ばれるものを採用していることです。

本体左右に搭載している「ベルト式駆動輪」
本体左右に搭載している「ベルト式駆動輪」